不動産ファンド5


さて、ここで一つ注意点があります。

<注意点>
不動産信託受益権のような第二項有価証券の場合、発行者が有価証券を発行し、投資家に取得勧誘する行為は、取得勧誘の結果、不動産信託受益権を所有することとなる者の数が500名以上であれば募集、未満であれば私募と呼ばれます。

取得勧誘とは、投資家に「取得しませんか?」と勧誘する行為のことです。

テナントビルの例の場合、発行者は委託者兼当初受益者でしたから委託者が不動産信託受益権の譲渡先を探す行為は、募集又は私募です。

ここで問題です。第二種金融商品取引業者は、委託者兼当初受益者から、転売目的で、不動産信託受益権を取得することができるでしょうか。不動産信託受益権の取引なのだから、第二種金融商品取引業者であればできると考えますか。

答えは、NOです。

<引受け>
なぜなら、転売目的で発行者から有価証券を取得する行為は、元引受けといって、立派な、第一種金融商品取引業だからです。

転売目的で発行者である委託者権当初受益者から不動産信託受益権という有価証券を取得する行為は、第一種金融商品取引業です。したがって、第二種金融商品取引業者は転売目的で委託者権当初受益者から不動産信託受益権を取得することはできないのです。

第一種金融商品取引業者として登録を受けていない第二種金融商品取引業者が転売目的で不動産信託受益権を取得をしてしまうと、最長5年以下の懲役刑です。

では、第二種金融商品取引業者が、発行者と譲渡先との間に入るためにはどうしたらいいでしょうか。

<募集の取扱い・私募の取扱い>
簡単です。みずからは取得しないで、発行者に代わって発行者のために不動産信託受益権の取得勧誘を行い、不動産信託受益権の譲渡先に直接所得させれば良いのです。

発行者に代わって発行者のために取得勧誘をする行為を、募集に際して行われれば募集の取扱い、私募に際して行われれば私募の取扱いといいます。

信託受益権の募集の取扱いや私募の取扱いは第二種金融商品取引業です。ですから、第二種金融商品取引業者ができます。

不動産信託受益権の発行者が不動産信託受益権を譲渡する際、第二種金融商品取引業者は、募集の取扱い又は私募の取扱いだけを行えば良いのです。決して、みずから取得してはいけません。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
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