不動産ファンド10


<引受け>
GK-TKスキームに基づき、営業者に対して「配当を支払え」と請求することができる権利を、転売目的でいったん取得する行為は、元引受です。

第二種金融商品取引業者は元引受ができないということは既にお話した通りです。有価証券の引受けは、第一種金融商品取引業だからです。

<例外>
ところが、この原則を貫くと不都合が生じます。二層構造ファンドの場合です。

子ファンドの組合等出資持分を親ファンドに取得させるために、いったん、子ファンドの組合等出資持分を取得することを第一種金融商品取引業としてしまうと、第二種金融商品取引業者は、取得できなくなってしまうからです。

そこで、金融商品取引法は、匿名組合契約のうち、不動産信託受益権のみに投資する事業を行うファンド(子ファンド)の組合等出資持分を、第二種金融商品取引業者がいったん取得し、他の一つの匿名組合契約に基づくファンド(親ファンド)に取得させる行為は、金融商品取引業に該当しないとしました。

以上のことから次の行為は、引受けに該当するでしょうか。

委託者権当初受益者が、不動産信託受益権を子ファンドに譲渡する際、いったん、第二種金融商品取引業者が、不動産信託受益権を子ファンドに取得させるために取得する行為。

答えは、簡単ですね。そうです。引受けに該当します。このような行為を金融商品取引業から除外するという例外規定はないからです。したがって、以上の行為は、第一種金融商品取引業者でなければできません。

引受けを第一種金融商品取引業にしたのは、引受けは大きなリスクを伴うからです。第一種金融商品取引業者であっても、一定の資本金がなければ元引受けはできません。

金融商品取引業者の財務の健全化のため、ひいては、投資者保護のために、引受けは第一種金融商品取引業とされているのです。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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