不動産ファンド12


GK-TKスキームのコンプライアンス的問題点の総括をします。特に、ノンリコースローンについては、細心の注意が必要です。

<不動産信託受益権の合同会社への譲渡>
委託者兼当初受益者による不動産信託受益権の合同会社への譲渡は、自己募集です。

ただし、不動産信託受益権の自己募集は、金融商品取引業ではないため、委託者兼当初受益者が金融商品取引業者である必要はありません。

委託者兼当初受益者から合同会社に不動産信託受益権が譲渡される際に、委託者兼当初受益者と合同会社の間に入る行為は、私募の取扱いですから、間に入る者(アレンジャー)は、第二種金融商品取引業者でなければなりません。

また、不動産信託受益権を合同会社に取得させる行為は、合同会社に拒否権はなく、アレンジャーに投資判断の決定権があるから(合同会社に拒否権があったら不動産の流動化にならない)、合同会社を顧客とする投資運用業です。従って、不動産信託受益権を合同会社に取得させる者(アレンジャー)は、投資運用業者でなければなりません。

<レンダーのノンリコースローン>
レンダーが銀行の場合、レンダーの合同会社に対するノンリコースローンは、当然、銀行の貸付けです。従って、アレンジャーが、銀行のためにノンリコースローンを媒介する行為は、銀行代理業になりますから、銀行法に基づく許可がないとできません。

証券会社がアレンジャーとなる不動産流動化案件について、金融庁はパブリックコメントの回答の中で「証券会社が銀行との間で融資に係る媒介契約を締結する場合、当該貸付けを取り扱う行為は銀行代理業に該当します。」と回答しています。

逆に、ノンリコースローンの媒介が、合同会社のために行われているのであれば、貸金業ということになりますから、貸金業法に基づく登録がなければできません。

投資助言業者による合同会社への助言
GK-TKスキームにおいて、投資助言業者が、合同会社に助言をして特定の不動産信託受益権を取得させる場合、投資助言業者の行為は、助言の範囲を超えて、投資運用業になります。

合同会社の取締役会で投資の最終決定をしていても同じです。合同会社に拒否権ないからです。(あったら、不動産の流動化が成立しない)

金融庁もパブリックコメントに対して、同様の回答をしています。


<出資者の募集>
出資者の募集は、明らかに、合同会社による自己募集(自己私募)で、金融商品取引業です。ですから、原則として、合同会社は、第二種金融商品取引業者でなければなりません。

ただし、合同会社が出資者の募集をすべて第二種金融商品取引業者(アレンジャー)に委託しているのであれば、金融庁の解釈により、合同会社は第二種金融商品取引業者である必要がなくなります。

<開示規制のフル適用>
GK-TKスキームでは、合同会社は不動産信託受益権という有価証券で運用を行いますから、合同会社には金融商品取引法の開示規制がフルに適用されます。

従って、合同会社は、合同会社に対する出資者に対して、転売制限等告知書を交付したり、有価証券届出書を財務局に提出したりしなければなりません。

<組合等出資持分の取得>
合同会社からいったん組合等出資持分を取得し、取得した組合等出資持分を第三者に取得させる場合、合同会社からいったん組合等出資持分を取得する行為は、金融商品取引業の引受けです。

従って、合同会社から組合等出資持分を取得する者は第一種金融商品取引業者でなければなりません。

唯一の例外は、二層構造ファンドです。

GK-TKスキームにおいて、合同会社(子ファンド)が不動産信託受益権を取得する場合であって、合同会社からいったん組合等出資持分を取得した者(引受人)が、別のGK-TKの合同会社(親ファンド)「一社」に限って、取得した組合等出資持分を取得させる場合、子ファンドから取得する行為は、引受けであっても金融商品取引業から除外されているため、第一種金融商品取引業ではありません。

これは、唯一の例外ですから、例えば、子ファンドから取得した組合等出資持分を、他のGK-TKの「複数の」合同会社に、取得させる行為は、金融商品取引業である引受けに該当するため、第一種金融商品取引業者として登録を受けていなければできません。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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