インサイダー取引規制の改正


証券会社の元執行役がインサイダー取引に関与した事件で、元執行役員が教唆犯として有罪判決を受けたと報道されています。報道によれば、元執行役員はTOBの情報を漏えいしたということです。

TOBは公開買付けのことです。買付者が11人以上の投資家から5%超の上場株を市場外で買い付ける場合には、既存株主の平等な取扱いの観点から、公開買付けによらなければなりません。

一般に、公開買付けにおいては、買付け者は、市場で売買されている株価にプレミアムを上乗せされた価格で買い付けます。ですから、既存株主の平等な取扱いが要求されています。

つまり、TOBの情報が公表される前に対象の株式を購入すれば、利益を得る可能性が高いということです。このため、TOBの情報を利用して株式を購入することが基本的に禁止されています。

現行の金融商品取引法では、インサイダー情報に基づく売買が禁止されているだけで、情報を漏えいすることは禁じられていません。

「これでは片手落ちだろう」ということで、今年6月金融商品取引法が改正され、情報の漏えいを直接的に禁止する規定が追加されました。実際の施行は、1年以内とありますので、来年6月までのいずれかの日です。違反者は最長5年以下の懲役刑です。

インサイダー情報の漏えい禁止規定は証券会社の役職員のみならず、特に、上場会社の役職員や役人等にも適用されます。

上場会社や証券会社の役職員や役人に対する改正金融商品取引法の研修が必須です。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。コンプライアンス・リスク管理コンサルタントとして、上場会社、が外資系企業など多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

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