投資助言業者による無登録営業(1)


投資助言業者が必要な登録を受けずにファンドを販売していた(無登録営業)として、証券取引等監視委員会がこの投資助言業者に対して行政処分を行うように金融庁に勧告する方針を固めたと報道されています。

9月26日に金融財務研究会が主催した投資助言業者向けのセミナーの講師を行いましたが、そこでも、私は具体的な事例を挙げて、何が無登録営業に当たるかを説明しました。

報道では投資助言業者が無登録でファンドを「販売」したとありますが、金融商品取引法に「販売」という概念はありません。

報道を読む限り、この投資助言業者は、ファンドの「募集の取扱い」又は「私募の取扱い」をしていたようです。

<募集の取扱い>
投資信託(外国投信も含みます)の募集の取扱い又は私募の取扱いができるのは、第一種金融商品取引業者だけです。

組合持分(海外のLLP持分を含みます)の募集の取扱い又は私募の取扱いができるのは、第二種金融商品取引業者に限られます。

「募集」又は「私募」とは、投資信託や組合持分を発行してお金を集めようとする行為です。

「募集の取扱い」又は「私募の取扱い」は、「お金を集めようとする者のために」投資家を集めようとする業者の行為を指します。

この場合、業者の顧客はお金を「出す」投資家(皆さん)ではなくお金を「集める」者の方です。典型的にはお金を集める方から手数料を受け取ります。

報道によると、この投資助言業者の関係会社は「お金を集める方」(皆さんのnお金を貰う方)から金銭を受け取っていたということです。

以前にもブログで書きましたが、金融庁は「全体を見て」法令違反があったかどうかの判断をします。実際に金銭を受け取ったのが関係会社であるか本人であるかは関係ないわけです。

さらに、報道によると、関連会社が受け取った金銭はお金を集めようとする者の「広告費」だったということですが、名目は関係ありません。

まったくと言って良いほど同じ手口で行政処分を受けた投資助言業者が以前ありましたが、関係会社の行為であっても、名目が広告費であっても、「全体を見て」、投資助言業者による募集の取扱い又は私募の取扱いに見えるのであれば、それは、検査実務上法令違反です。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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