宅建業者に対する検査(1)


宅地建物取引業者に対して金融庁証券取引等監視委員会の検査が盛んに検査を行っています。

信託受益権の売買や売買の媒介を行うために第二種金融商品取引業の登録を受けている「街の不動産屋」にまで検査の手が及んでいます。

こうした現状を踏まえ、このシリーズでは宅地建物取引業者(宅建業者)がどのような検査対策をすることが必要になるかを明らかにしていくことにします。

<定義>
金融商品取引法の条文に沿って、まず定義を確認しておきましょう。

<売買及び売買の媒介>
不動産信託受益権の売買や売買の媒介について注意しなければならない点は、金融商品取引業と手数料との間には何の関係もないという点です。

不動産信託受益権の売買や売買の媒介を行った場合、一切手数料を受領していなくても売買や売買の媒介を行った時点で、即金融商品取引法が適用されます。

従いまして、手数料を受領していないからといって第二種金融商品取引業の登録を受けないで不動産信託受益権の売買や売買の媒介を行うと一発でアウトです。

この結果、第二種金融商品取引業の登録を受けている金融商品取引業者(金商業者)が、登録を受けていない宅建業者(無登録の宅建業者)に売買の一方の相手方の紹介を受けた場合、無登録の宅建業者に手数料を支払わなくても、金商業者は「名義貸し」か「無登録の宅建業者による金商業のほう助」という金商法の規定に違反することになります。

なお、「ほう助」という単語を使いましたが、刑法にいうほう助の意味ではなく、「助けた」くらいの意味に使っています。

ちょっと難しく書いてしまいましたが、大丈夫でしょうか?一回読んでわからなかった場合には何度か繰り返し読むようにしてみてください。

<紹介料>
「無登録の宅建業者に不動産信託受益権の売買の一方の相手方を紹介してもらったので、紹介料を支払う分には構いませんよね?」という相談を受けたことがありますが、これは違法です。

金商法の解釈は、形式ではなく実態で判断されます。

不動産信託受益権の売買の一方の相手方を紹介する行為は、実質的に不動産信託受益権の売買の媒介であるとみなされますので、既に説明した通り、無登録の宅建業者に不動産信託受益権の売買の媒介をさせたとして、名義貸しか無登録の宅建業者による金商業のほう助になります。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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