宅建業者に対する検査(3)


今回は自己募集の留意点についてお話します。

<自己募集>
自己募集は、組合等出資持分の取得勧誘(販売)のことです。第二種金融商品取引業です。

念のためですが、不動産信託受益権の募集(私募)は、自己募集ではありません。不動産関連業務でいうと不動産ファンドの販売のみが自己募集になります。

なお、ここでは自己募集と自己私募を併せて自己募集と呼ぶことにします。

<開示規制の適用>
開示規制とは、有価証券の内容や有価証券の発行者の情報を公開する制度のことを言います。有価証券届出書の提出や有価証券報告書の提出が開示規制に該当します。

開示規制は原則として不動産ファンドの取得勧誘には適用されません。ただし、不動産ファンドの出資対象事業が主として有価証券に対する投資を行う事業である場合には開示規制が適用されます。

具体的にいうと、匿名組合契約の営業者が行う事業が不動産信託受益権の取得である場合には、匿名組合契約に参加する権利(組合等出資持分)の販売は開示規制に服さなければなりません。

GK-TKスキームに対する出資持分の販売7には開示規制が適用されるということです。

<有価証券届出書と有価証券報告書>
有価証券届出書と有価証券報告書の説明は省略しますが、有価証券の募集を行おうとする者は「有価証券届出書」を財務局に提出しなければなりません。

また、有価証券届出書の提出を行った者は、原則として有価証券報告書を提出する義務を負います。

もっとも、組合等出資持分の募集は考えにくいため(ほとんどすべては私募であるため)、第二種金融商品取引業の登録を受けている宅建業者の方は、有価証券届出書の存在を知らなくても、実務上困らないと思います。

<転売制限等告知書>
組合等出資持分の取得勧誘が「私募」であった場合には、開示規制に従い、「転売制限等告知書」を投資家に提供しなければなりません。

具体的にいうと、不動産信託受益権に投資するGK-TKスキームにおいては、営業者から匿名組合員に対して転売制限等告知書が提出されなければなりません。

転売制限等告知書の内容は、組合等出資持分の販売が私募であるため金商法4条の届け出、つまり、有価証券届出書の提出が行われていないこと、及び第二項有価証券である旨です。

不動産信託受益権で運用を行うGK-TKスキームにおいて、匿名組合員に転売制限等告知者が提出されていなかった場合、開示規制違反になりますので、5年以下の懲役ですから注意しましょう。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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