内部管理態勢


金商法の施行に伴い(運悪く)証券行政に組み込まれた金商業者にとってわかりにくい概念に「内部管理態勢」があります。

先日、内部管理態勢について、二種業者の社長と話をしたとき、社長から「うちは、大手監査法人の内部統制の監査を受けているから大丈夫なんです」という回答が返ってきました。

内部管理態勢の話をしているのに、内部統制と混同するこの理解は危険です。

証券部門で20年間、金融商品取引法(旧証券取引法)のコンプライアンスを担当している私から見ると(つまり、金商法の立場に立つと)、内部管理態勢と内部統制とは、全くの別物です。

<内部統制>
金商法で内部統制といえば、開示規制に規定されているように、開示(有価証券報告書等)の問題です。

<内部管理態勢>
一方、内部管理態勢は、行為規制の問題です。

行為規制である金商法44条の3(金商業等府令153条)に内部管理業務とは、①法務コンプライアンス、②市場リスク管理、信用リスク管理、③内部監査、④財務、⑤経理、⑥税務であると規定されています。

内部管理態勢とは、これらの内部管理業務が健全に機能している状態のことです。

<コンプライアンス態勢>
もっとも、実務的には、内部管理態勢とは、コンプライアンス態勢を意味すると考えて問題ありません。

したがって、内部管理態勢は、法令等に基づき社内規則を整備し、社内研修を行い役職員に社内規則を周知し、法令等違反行為を未然に防止する一連の行為を含みます。

また、社内規則を周知しても人為的なミス等で法令等違反が起きる場合があるので、役職員の業務、特に、営業活動を日々モニタリングすることも、内部管理態勢の一つになります。

他にも、苦情報告体制、広告審査、顧客情報管理も内部管理態勢の一部です。そして、内部管理態勢の整備は金商業者の義務です。だから、登録の際の体制審査(監督指針)の項目に、これらの項目が列挙されているわけです。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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