K2Investment


K2Investment(助言業者)が、業務停止命令期間中に業務を行ったとして、証券取引等監視委員会は、昨日、同社に対し行政処分を行うように金融庁に勧告しました。

同社は、業務停止命令を受けた結果、業務を停止しなければならなかった業務停止期間中に、複数の方法で、実質的に、金商業(投資助言業)を行っていたことが、証券取引等監視委員会のサイトからわかります。

複数の方法とは、次の3つの方法です。

<原因と結果>
同社は、投信を紹介するセミナー動画を自社のサイトに掲載し、また、同社の前社長のブログにおいてセミナー動画の視聴を勧誘していました。これが原因で、この結果、セミナー動画の視聴について、新たな契約を締結し、視聴料を受け取ったとあります。

投信を紹介し紹介料を得る行為がすべて投資助言業に該当することにはなりませんが(むしろ一種業務に該当する可能性が高い)、紹介行為が投信の価値等の判断を提供している形になっていれば、紹介料という報酬を得ているのだから、投資助言業です。

ここで注目すべきは、「原因」だけでも業務停止命令違反が成立するかという問題です。仮に、原因行為は業務停止命令期間中に行われ、結果は業務停止命令期間後に行われた場合、これは、業務停止命令違反に該当しないのか、という問題です。

証券取引等監視委員会のサイトからだけでは判断がつきませんが、考え方としては、原因がなければ結果がないのだから、業務停止命令期間中に原因を作り出すことも、業務停止命令違反と考えるのが筋です。

<合わせ技>
同社は、一方で、業務停止命令期間中にも報酬を受領していて、他方で、セミナー動画を自社のサイトに掲載していました。

各々を見ると、一方は単にお金を貰っただけ、他方は動画を視聴させただけということになりますが、一体としてみれば、投資助言業であるから、業務停止期間中の業務に該当するという指摘です。検査は実質を見るのですから、当然の結果です。

<継続>
同社の前社長は、顧客に対し、業務停止命令期間中にメールで個別有価証券の取得に関する投資助言を行っていました。これは、解釈の余地なく、業務停止命令期間中の業務に該当します。

助言業者に限らず、業務停止命令を受けた金商業者は、金融庁が特別に許した範囲を除き、対象となった業務を当然のことながら行うことはできません。

「じゃあ何をしていればいいのか」と言えば、できることは、業務改善報告書を作成して実行することだけです。

「そんなことを言っていたら潰れてしまう」というのであれば、「潰れて結構」という考え方が、金商業者の登録制度の考え方です。

だから、検査が入る前に、コンプライアンス態勢を整備し、行政処分を受けない体質にすることが、金商業者に求められる絶対の要件になります。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
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