平成26年度証券検査基本方針(3)


証券検査基本方針で、SESCは、「検査対象先の特性に応じた効率的・効果的で実効性ある証券検査のための取組み」についても触れています。

<効率的・効果的>
証券検査のまさに基本方針と言えるのは、検査は効率的かつ効果的でなければならないという点です。

効率的というのは、わかりやすく言えば、1社にかける検査期間はできるだけ短縮するという意味です。税金をかけて行っているので、投与できる人材や時間に限りがある中、約8000社も検査対象先があるのですから、証券検査が効率的であることは至上命題です。

しかし、時短の結果、見落としだらけの検査をやっても意味がない。だから、証券検査は効果的であるべきです。

効率的・効果的であり続けるための方法論の一つは、「検査実施の優先度の判断を適切に行うこと」です。

検査実務的に、また、傾向と対策的に言えば、この優先度の高いところに検査が入りやすいということになります。

<検査対象先の選定>
検査対象先の選定について、SESCは、「優先度の判断に際しては、業態、規模その他の特性、その時々の市場環境等に応じて・・・」と抽象的に書いています。

しかし、比較的具体的な個所もあり、例えば、検査対象先は「業者の市場における位置付けや抱えている問題点等を・・・勘案して・・・選定する」と言っています。

意味は、推測する他ありませんが、「市場における位置付け」と言っているくらいですから、販売規模が大きい業者は選定される可能性が高く、また、「抱えている問題点」と言っているくらいですから、投資者から苦情が上がっている業者は(従来通り)選定される可能性が高いということだと考えます。

メッセージ性がある文言はその後です。

「特に中小の金融商品取引業者について、長期間にわたって検査が行われていないことが投資者保護上のリスクとならないよう、検査を実施する業者数を増加させる」と言っています。

これは、MRI事件を踏まえた言及だと考えられますので、言いたいことは、「中小規模の二種業者の検査を増やす」ということだと推測できます。

二種業者の検査対象先選定基準を考えると、平成25年度は、不動産信託受益権の取扱業者に対する検査が比較的集中的に行われましたから、平成26年度は、ファンドの取扱業者に検査が集中する可能性が高いかもしれません。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

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