自分でできる検査対策2


金融商品取引業者の内部管理部門の責任者は、内部管理の整備等その職務を果たしていることが求められています。

<内部管理部門>
内部管理部門とは、次の部門を指します。
1 法務コンプライアンス部門
2 市場リスク管理部門
3 信用リスク管理部門
4 経理部門
5 財務部門
6 税務部門
7 内部監査部門

<市場リスクと信用リスク>
市場リスクとは、有価証券を所有しているとき、有価証券の価格(評価額)の変動により、損失を被る可能性のことです。一種業者(証券会社)にとっては日々死活問題です。

二種業者は、例えば、信託受益権という有価証券を所有しているときは、信託受益権の価格(評価額)の変動を予想し、総額が資本金の何%に達したら、一部信託受益権を処分するなどの方策を講じるような体制を整備しておくことで足りると考えられます。

信用リスクとは、取引の相手方や有価証券の発行者の財務状況の変化により、損失を被る可能性のことです。これも、一種業者にとっては死活問題です。

二種業者は、例えば、ファンドを所有しているとき、ファンドの発行者の事業活動状況や財務状況を常に把握し、発行者の財務状況があらかじめ定めたレベル以下となった際には、一部ファンドを処分するなどの方策を講じるような体制を整備しておくことで足りると考えられます。

<経理、財務、税務>
経理、財務、税務は、内部管理、つまり、営業などフロント業務の結果を管理する部門の一つです。ですから、内部管理部門に含まれています。

どう機能するかというと、経理に甚大な営業及ぼし得るほど大きな取引が行われた場合には、原因を調べ、いつ解消されるのかを営業部門と協議できる体制が整備されていれば、経理という内部管理部門の内部管理は機能していると言えると考えられます。

<法務コンプライアンス部門>
内部管理部門と言えば、法務コンプライアンス部門と、後で説明する内部監査部門です。

コンプライアンス部門は、会社又は会社の役職員が法令違反や不適切行為を起こさない体制を整備することが求められます。これができて初めて、検査マニュアルで求められている「職務を果たす」ことになります。

コンプライアンス部門は、最低でも、次のことに留意しなければなりません。
1 営業部門と兼任しないこと
2 コンプライアンスプログラムを毎年更新すること
3 コンプライアンスプログラムを着実に実行すること
4 社内研修計画を立案すること
5 社内研修を確実に開催すること

コンプライアンスプログラムとは何かということにつきましては、拙著「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)をご参照ください。

社内研修ですが、できれば毎月、最低でも隔月で実施することが理想です。実務的な問題として、誰が講師をするかですが、外部の専門家に依頼するのが最も良い方法だと思います。

社内研修の実務的なポイントを紹介しておきます。

社内研修を実施するときには、誰が必須出席者なのかを確定させます。そして、研修当日には、出席者のサインをもらい、出席者を確認し、万一、出席していない役職員がいたら、同じ内容の研修を繰り返し行い、必須出席者が全員受講するまでつづけることです。

ここまでやらなければ、「職務を果たした」とは言えません。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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