自分でできる検査対策3


内部監査も内部管理の最重要要素の一つです。

<内部監査部門>
内部監査部門は「機能を果たしている」と言えるためには、最低限、次の要件を満たしていなければなりません。

1 内部監査部門が他のいかなる部門からも独立していること
2 内部監査部門は代表取締役直轄になっていること
3 内部監査部門が、監査プログラムを毎年更新すること
4 内部監査部門が、監査プログラムを着実に実施すること
5 内部監査部門が、内部監査レポートを代表取締役に提出すること
6 内部監査部門が、被監査部門に監査結果を実行するよう命じること

<独立性>
内部監査部門は他のすべての部門から独立することが明示的に求められています。ところが、財務局の登録実務では、他の部門を兼任することを認めています。

内部監査部門が例えばコンプライアンス部門を兼任していたとき、当然ですが、内部監査部門は、コンプライアンス部門の監査ができません。

そこで、他の部門が内部監査部門権コンプライアンス部門の監査をすれば良いという理屈でしょう。

しかし、これは間違った判断です。なぜなら、これでは他の部門も代表取締役の直轄でなければならなくなること、他の部門が内部監査の専門性を備えていなければならないことになるからです。

財務局は仮に兼任を認めるのであれば、監督あるいは検査において、この2点をクリアーしていることを確認する必要があることを認識しなければなりません。

<プログラム>
監査プログラムとは、監査計画のことと同義と考えて実質的な問題はありません。計画を立てて実行するのは、当たり前のことですね。

<レポート>
内部監査部門は、監査結果をレポートにまとめて、代表取締役、場合によっては取締役会に報告しなければなりません。内部監査は、会社全体の問題だからです。

<重要性の根拠>
内部監査部門は、金商業者の中で最も重要な機能の一つです。

なぜか。

内部監査部門が、指摘する事項は、法令違反であったり、社内規則違反であったり、本来、あってはならないことです。

法令違反が金商業にあったにもかかわらず、財務局検査に発見されるまで気が付かなかったでは、法令違反を放置している会社であることを証明しているようなものです。

金商業者の社内の組織である内部監査部門が、財務局検査に指摘される以前に法令違反を発見していたとすれば、自浄作用が働く余地があることを証明できます。自浄作用が効いている金商業者にまで、財務局が検査で指摘し、行政処分を行うことは、事件の軽重にもよりますが、まずあり得ません。自浄作用が働くのであれば、財務局が手を下さなくても、内部管理態勢が整備されていることがわかるからです。

従って、内部監査が「機能を果たしている」と言えるためには、自浄作用が働いていることが証明できるまでに監査の深度を掘り下げ、網羅性もカバーすることが肝要になります。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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