自分でできる検査対策4


内部管理部門に関して、代表取締役は、内部管理部門の責任者と密接な連携を図り、内部管理に関する重要情報を把握するシステムを構築しなければならないとあります。

<内部管理>
ここまで、「内部管理」について深く触れずに話を進めてきましたが、内部管理っていったいなんでしょうか?

金商業者の業務は、顧客に接するフロント部門とフロント部門が行った取引の決済を行うバック部門があれば成り立つはずです。取引は成り立つんですが、じゃあ、経理はどうする、税金はどうするという問題が生じます。

また、フロント部門とバック部門が、業務を行っている最中に、全員が、金商法を紐解きながら業務を行うのは、非効率です。

このように、フロント部門とバック部門だけでは足りない、重要な機能をもった部門のことを総合して内部管理部門と呼びます。

<代表取締役の情報収集>
代表取締役は、フロント部門とバック部門のことを知らなければ、会社の業績がどうなっているのか皆目見当がつかなくなってしまうので、黙っていても、フロント部門とバック部門、特に、フロント部門の業務には関心を持ちます。

ところが、内部管理部門は、機能は重要でも、代表取締役が知らなくても、直接的には、業績に響きませんので、興味を持たない可能性があります。

内部管理部門の軽視です。

実際、金商法施行以降に業者登録をした会社の中には、代表取締役が内部管理部門を軽視する会社があると聞かされることがあります。

内部管理部門が軽視されてしまうと、例えば、法務コンプライアンス部がフロント部門やバック部門で法令違反を見つけても、「軽視されているから、放っておこう」となってしまうかもしれません。

法令違反が放置されていいはずがありませんよね。

だから、代表取締役は、内部管理部門の責任者と積極的に密接な連携を図り、内部管理に関する重要情報を把握するシステムを「意識的に」構築しなければならいわけです。

<具体的な方法>
「システムの構築って、具体的にどうすればいいの?」

システムとは、言うまでもないですが、ITシステムのことを言っているのではなく、「仕組み」の話をしています。

具体的な方法としては、例えば、「内部管理部門責任者会議」という会議を毎月開催し、各内部管理部門の責任者が代表取締役に報告するという体制整備が考えられます。

会議の欠点は、例えば、法務コンプライアンス部が法令違反を発見したとき、会議で公表してしまうと役職員を必要以上に動揺させる危険がある点です。

この欠点を補うために、内部管理部門責任者会議は、「結果報告」をする会議とし、リアルタイムに起きている内部管理上の問題(法令違反の発見、不測の損害の発生など)については、代表取締役が逐一報告を受けるという仕組みを整えることが必要です。

結果報告のための会議を設け、一方で、都度起きる内部管理上の問題について代表取締役がリアルタイムに報告を受ける、という仕組みを築けば、「システムを構築している」と言えると考えられます。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。コンプライアンス・リスク管理コンサルタントとして、上場会社、が外資系企業など多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

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