自分でできる検査対策7


内部管理統括責任者は、様々な体制整備が求められています。特に、実務上重要(見落としがちな)項目を検討してみましょう。

<広告や勧誘資料等の審査を行うための体制>
内部管理統括責任者は、広告や勧誘資料等の審査を行うための体制整備を行わなければなりません。

役職員が作成する広告や勧誘資料は、必ず、内部管理統括責任者か内部管理担当者の検証を受けて、顧客に提供されなければなりません。

この検証のことを「広告審査」といいます。

<広告審査規程>
二種業者や助言業者の中には、「広告審査規程」(社内規則の一つ)を作成していない会社が散見されますが、広告審査規程は、とても重要な社内規則ですので、内部管理統括責任者は必ず広告審査規程を設置し、役職員に周知し、実際に、広告審査規程通り、運営しなければなりません。

具体的には、広告や勧誘資料はだれが作ってもいいんだけれども(一種業者は違います)、作成された広告や勧誘資料を内部管理統括責任者又は内部管理担当者に回し、内部管理統括責任者又は内部管理担当者は、広告や勧誘資料が法令や社内規則に違反していないことを検証します。

会社によっては、「検証済」という印鑑を押印している会社もあります。

広告審査規程には、検証済みの広告又は勧誘資料以外の資料を顧客に配布した役職員は、別に定める内規に基づき、処分されると規定します。

<広告審査の重要性>
「うちには、顧客を騙そうなんて役職員はいないから、広告審査なんて必要ないよ」という判断は早計です。

騙すつもりはなくても、人間が作成するので、間違えた記載があるとか、重要な事項が欠けているなどの広告や勧誘資料が顧客に配布されてしまう可能性があります。

検査事例として、不動産ファンドを販売した二種業者が使用した勧誘資料に、レバレッジ効果が記載されていなかったという事例が指摘されています。

わざとだったのか、うっかりだったのかわかりませんが、いずれにせよ、広告審査体制が機能していなかった結果です。

広告審査が重要な理由は、誤ったあるいは不十分な情報が顧客に提供されてしまうと、十分な情報が提供されていたら投資をしなかった投資家を市場に参加させてしまう可能性があるからです。

繰り返しになりますが、金商法の目的は「公正な価格形成」です。本来市場に参加すべきでなかった者が投資家として市場に参加してしまうと、公正な価格形成がゆがめられるおそれがあります。

従って、広告審査体制の不備は、即、金商法の目的違反になる可能性があるため、非常に重要なわけです。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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