【号外】平成26年金商法改正


平成26年金商法改正案が衆議院を通過しました。今回の改正は比較的大きく、広範囲にわたり、改正されています。

<虚偽開示資料を提出した会社の賠償責任>
従来、発行市場においても、流通市場においても、有価証券届出書や有価証券報告書について、虚偽の資料を提出した発行者の賠償責任は無過失責任でしたが、平成26年改正で、流通市場における虚偽開示資料の提出についての賠償責任は過失責任に改正されます。

なぜ、発行市場と流通市場における発行者の賠償責任を分ける必要があるのでしょうか。

そもそも発行市場とは、有価証券の募集に見られる通り、有価証券を発行した発行者が資金調達をします。これに対し、流通市場では、既に発行されている有価証券の売出しに見られる通り、資金調達をするのは売出人であって、発行者ではありません。

従って、流通市場において虚偽開示資料の提出があった場合には、発行者に何ら利得がないのに、無過失責任としてしまうと、さまざまな弊害は生じます。平成26年改正の開示規制の改正の要点はここにあります。

<電子募集取扱業務>
電子的方法で、有価証券の募集(私募)の取扱いを行う金融商品取引業者の行為を、電子的に有価証券の募集(私募)の取扱いを行う業務であるとして、「電子募集取扱業務」と定義し、登録申請の際、電子募集取扱業務を行う旨の書面を追加的に提出する義務が生じます。

電子募集取扱業務とは、いわゆる「クラウドファンデング」の話です。非上場有価証券や事業型ファンドの募集(私募)の取扱いを行う金商業者の資本金規制を緩和するものです。案では、発行総額(売出総額では定義上絶対にないことに注意)が1億円未満である発行に適用されます。

なお、発行総額が1億円未満ですから、有価証券の募集に際し、現状、有価証券届出書の提出義務が免除されます。

ここで気を付けなればならないことは、この改正は発行市場に係る取引、具体的には「募集(私募)の取扱い」に係る業務に限定され、流通市場における取引である「有価証券の売買」には適用がないという点です。

<登録拒否要件の追加>
従来の登録拒否要件に、「金融商品取引業を適確に遂行するための必要な体制が整備されているものと認められないもの」が追加されました。人的構成要件は従来から存在していたところ、さらに体制整備要件が追加された形です。

<営業所・事務所の国内所有>
改正法適用後、従来は国内に拠点を持たない二種業者でも、登録要件が満たされていれば、登録されていましたが、改正法施行から、二種業者も国内に拠点を設けなければならくなります。

<第二種自主規制機関への加入規制>
新規に登録する二種業者は、第二種自主規制機関に加入するか当該機関が作成する規則集に準じて社内規則を整備し、体制を整備することが求めなられます。この規定は、一種業者と平仄を併せたものです。

<少額電子募集取扱業務>
第一種少額電子募集取扱業務を行う業者と、第二種少額電子募集取扱業務を行う業者には、実態に合わせた登録制度の特例が認められます。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。コンプライアンス・リスク管理コンサルタントとして、上場会社、が外資系企業など多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

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