金商法の用語の整理5


投資助言業も、簡単そうで、難しい用語の一つです。

<投資顧問契約>
「投資顧問契約」とは、当事者の一方が相手方に対して、有価証券の価値等や、金融商品の価値等の分析に基づく投資判断について助言を行うと約束し、相手方が助言に対して報酬を支払うことと約束する契約です。

有価証券の価値等とは、有価証券の価値の動向などを指します。「まだまだ上がる」とか「もう下がる」とか、有価証券の価値の動向を意味します。

金融商品の価値等の分析に基づく投資判断とは、金融商品の価値の動向の分析に基づいて行う、投資の対象となる有価証券の種類、銘柄、数及び価格並びに売買の別、方法及び時期についての判断のことです。

つまり、「いつ何をどれくらいいくらで買いです!」という判断を指します。

投資助言業は、だから、「お金を貰わなければ、助言をしても金商業に当たらない」「登録の必要なし」と考える方が散見されます。

これ、違います。

投資助言業とは、投資顧問契約に基づき、助言を行うことです。

ここ、いいですか?

<投資助言業>
投資顧問契約では確かに報酬の授受が約束されていますが、投資顧問契約に基づけば、一円の授受がなくても、助言をした瞬間に投資助言業になるわけです。

契約は口頭でも成立しますから、例えば、AがBに対して「これから上がる株について助言するから、報酬くれよ」と言ったときにBが「頼むよ」と言ったら、投資顧問契約は成立します。

次に、実際に、AはBに助言をしたので、Bがお金を払おうとしたとき、Aが「お金貰うと金融商品ナンチャラって法律に引っかかるみたいだから、貰わないでおくよ」と言っても、Aの助言は無登録営業になってしまいます。

なぜなら、投資助言業とは、投資顧問契約に基づく助言をする行為を指すのであって、助言の後に、実際にお金の授受があったかどうかは、投資助言業であるかどうかの判断材料(要件)にならないからです。

<法定帳簿>
また、逆に、登録業者である投資助言業者が、投資顧問契約に基づいて助言をしておきながら、「報酬を貰っていないから」という理由で、金商業と認識せず、例えば、法定帳簿を作成しないケースも考えられます。実際、SPCに助言を行っておきながら、法定帳簿を作成していなかった不動産関連の助言業者がいました。

うっかり、しそうなところなので、注意が必要です。

<報酬のない助言>
友人から与えられた面白い問題があります。ちょっと応用問題です。

A、B、Cと3者がいた場合、AはBに助言をするんだけれども、報酬を貰う約束はCとした場合、どこに「投資助言業」は発生するかという問題です。

これも、基本に立ち返ると答は一つに絞られます。

この場合、Aは誰とも投資顧問契約を締結していません。AはBから報酬を貰う約束をしていませんし、Cに助言をする約束もしていないからです。ところが、BとCが特別の関係にあって(例えば夫婦)、CはBのために(Bに代わって)報酬を支払う約束をしているとなると話は違います。

Cは、本来、Aから助言を受ける約束をし、対価として報酬を支払う約束、つまり、投資顧問契約をAとしているんだけれども、AがCにすべき助言をBに行うように指図していることになります。

つまり、AはCと締結した投資顧問契約に基づきCに対していつでも助言をする準備があるわけで、AはCとの関係で、立派に投資助言業を行っていることになります。

では、AとBの関係はどういう関係か。

Aは、Cに対する助言を、Cの指図によりBに行っているわけですから、AとBとの間には投資顧問契約がありません。従って、AがBに行っている助言は投資助言業ではなく、その他業務である(あるいは業ではない)という整理になります。

<投資助言業者のコンプライアンス担当者の会>
話は変わりますが、私は、投資助言業者の方を対象にしたコンプライアンス勉強会を毎月開催しています。参加者である投資助言業者の方が主体となって、毎回決定されるテーマについて議論する勉強会です。

内容は幅広く、毎回、とにかく、投資助言業者の方が共通して悩まれているコンプライアンス的問題がテーマになっています。

参加をご希望される方は、私までご連絡ください。既に参加されている方は皆さん良い方たちなので、新しく入ることに心配はいりません。テーマも、わからないときには、聞くだけでも問題ないように議事進行をしています。

投資助言業者のコンプライアンスご担当者の方は、ぜひ、ご参加ください。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
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