63条の見直しがAMに与える影響2


平成27年改正金商法の施行に伴う適格機関投資家等特例業務に関する最新情報はこちらから


最近、不動産AMから「投資運用業の登録について相談したい」という問い合わせが、私のところに増えています。

なぜでしょうか。

<前回の復習>
前回は、GK-TKスキームにおいて、GK、すなわちSPCである合同会社が、なぜ、二種業者及び運用業者として登録を受けないで、出資者から金銭を集め、出資者から出資された金銭を有価証券である不動産信託受益権で運用することができるのかを見てきました。

鍵は、二種業者及び運用業者として登録を受けているAMが、SPCである合同会社から、取得勧誘と運用権限を全部委託されていることでした。

<助言登録のみのAM>
現実問題として、AMの中には二種業者として登録は受けているんだけれども、運用業者として登録を受けず、助言業者としてのみ登録を受けている場合が、多々あります。

AMが運用業者として登録を受けている場合と、助言業者としてのみ登録を受けている場合との間で、GK-TKに与える影響はどのようなものになるでしょうか。

GK-TKスキームにおける、SPC(合同会社)の運用面に着目してみましょう。

SPCが出資者、つまり、組合出資持分の所有者から集めた金銭を不動産信託受益権という有価証券で運用する行為は、原則として、自己運用と呼ばれる金商業です。なので、運用業者として登録を受けることが原則ですが、現実問題は不可能であるため、SPCは運用権限をAMに全部委託することによって、自らは運用業者として登録を受ける必要がないというのは、前回お話した通りです。

では、AMが運用業者としての登録を受けず、助言業者のみの登録を受けている場合はどうなるでしょうか。

この場合、AMは、SPCが出資者から集めた出資金を不動産信託受益権で運用するに当たり、助言業者として「この不動産信託受益権を取得して運用した方が良いですよ」という助言をSPCに対して行い、SPCはAMの助言に従い、不動産信託受益権を取得して運用することになります。

ところが、この場合、AMが運用業者であった場合と異なり、SPCは助言業者であるAMから単に助言を受けているだけなので、運用権限はSPCに残ってしまっています。従って、SPCが不動産信託受益権を取得する行為は、自己運用に当たり、原則として、運用業者としての登録が必要になってしまいます。ところが、SPCが登録を受けることは事実上不可能であることは既にお話した通りです。

では、SPCはどうすれば良いのか?

結論から先にお話しすると、SPCは「特例業務届出者」となれば良いのです。

<適格機関投資家等特例業務>
誰であっても(SPCでも)、適格機関投資家等特例業務の届出を行えば、二種業者又は運用業者として登録を受けることなく、自己私募と自己運用ができるというのが、「適格機関投資家等特例業務」の特徴です。

GK-TKスキームにおいて、SPCが出資者から金銭を集める行為、すなわち、組合出資持分の取得勧誘を行うためには、原則とし、二種業者として登録を受けなければならず、SPCが出資された金銭を充てて不動産信託受益権で運用するためには、原則として、運用業者として登録を受けなけなければなりません。

しかし、例外として、適格機関投資家等特例業務の届出を行った「特例業届出者」は、登録を受けず、単に簡易な届出をするのみで、自己私募と自己運用ができるという制度が、金商法にあります。

登録は登録要件という厳しい要件を満たさなければ登録ができませんが、適格機関投資家等特例業務の制度では、届出要件という要件はありませんから、SPCでも特例業務届出者になることができるわけです。

SPCが、特例業務届出者になっておけば、助言業者としてのみ登録を受けているAMから助言を受けるだけで、自己運用を行うことができるわけです。GK-TKスキームには欠かせない制度です。

ただし、適格機関投資家等特例業務を利用するためには、一定の条件があります。

テーマ : 金融商品取引法
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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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