63条の見直しがAMに与える影響1


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最近、不動産AMから「投資運用業の登録について相談したい」という問い合わせが、私のところに増えています。

なぜでしょうか。

<不動産ファンド>
不動産ファンドとは、一般に、GK-TKスキームにおいて、出資者から集めた金銭を不動産信託受益権で運用し、出資者がTKに基づき、「運用から生じた利益を配当金として支払え!」と請求できる、金銭を不動産で運用するためのスキームの一つです。

GKとは合同会社、TKとは匿名組合契約のことですが、仕組みは、まず、営業者と呼ばれる合同会社が匿名組合員と呼ばれる出資者との間で「匿名組合契約」を締結するために、出資者に匿名組合契約に基づく組合出資持分の取得勧誘を行います。

合同会社は、出資者から集めた金銭で不動産信託受益権を取得することにより、出資者の金銭を運用します。

<金商法の適用>
GK-TKスキームにおいては、出資者の出資金を充てて不動産信託受益権で運用した結果生じする収益に対し、出資者は匿名組合契約に基づき、合同会社に「収益を配当金等として自分に支払え!」と言える請求権を取得します。

この請求権は、金商法で有価証券とみなされ、金商法の適用を受けます。また、合同会社が匿名組合契約に対する組合出資持分(請求権)を出資者に取得勧誘する行為は、「自己私募」と呼ばれる金商業に該当し、原則として、二種業者として登録受けている者以外がすることができません。

一方、不動産信託受益権も有価証券とみなされて金商法が適用されますが、営業者が出資者から集めた金銭を充てて、有価証券で運用する行為は「自己運用」と呼ばれる金商業に該当し、原則として、運用業者として登録を受けている者以外がすることができません。

<GK-TKスキームの合同会社>
ところが、GK-TKスキームにおける合同会社は、実態を有しないSPCであり、組織体制の面から、二種業者や運用業者として登録を受けることは不可能です。

<GK-TKスキームの実際>
このため、SPCである合同会社は、自ら出資者を集める行為、すなわち、匿名組合契約に基づく組合出資持分の勧誘を、二種業者として登録を受けているAMに全部委託し、自らは取得勧誘を行わない、つまり、自己私募は行っていないという立て付けにすることによって、二種業者として登録を受けません。(私は反対意見を持っています)

また、SPCは、運用業者として登録を受けているAMに、出資者から出資を受けた金銭を充てて不動産信託受益権で運用する権限を全部委託し、自らは運用を行わない、つまり、自己運用は行っていないという立て付けにすることによって、運用業者として登録を受けません。

<今日のまとめ>
GK-TKスキームにおいて、SPCである合同会社は、二種業者及び運用業者として、金商法に基づく登録を受け、組合出資持分の取得勧誘を自ら行う自己私募を行い、出資者から出資された金銭を不動産信託受益権で自ら運用する自己運用を行うのが原則です。

でも、SPCは実態を有しない会社であるため、登録を受けて二種業者又は運用業者になることができません。

そこで、SPCは、組合出資持分の取得勧誘を別の二種業者に全部委託し、自己私募を行っていないから二種業者としての登録は必要ないという形式を整え、出資金の運用権限を別の運用業者に全部委託し、自己運用を行っていないから運用業者としての登録は必要ないという形式を整えています。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
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