63条の見直しがAMに与える影響4


平成27年改正金商法の施行に伴う適格機関投資家等特例業務に関する最新情報はこちらから


最近、不動産AMから「投資運用業の登録について相談したい」という問い合わせが、私のところに増えています。

なぜでしょうか。

4回目になる今日は、適格機関投資家等特例業務の見直し後のAMの取り得るべき手段について、考察してみます。

<他の運用業者に一任する>
適格機関投資家等特例業務の見直しの結果、これまで特例業務届出者となることができたSPCが特例業務届出者として認められなくなった場合、SPCは自己運用ができなくなるわけですから、SPCは、他の運用業者に、SPCの運用権限を全部委託し、SPCは運用業者として登録を受ける必要がないという立て付けにすることが、理論的には可能です。

ただ、この場合、全部委託する運用業者に相当な手数料を支払わなければなりませんから、AMはコスト割れしかねません。従って、他の運用業者に一任する方法は、当然、選択肢の一つとしてありますが、実際に採用される可能性は決して高いとは言えないでしょう。

<現物不動産で運用する>
そもそも、この問題は、SPCが不動産を、現物不動産ではなく、不動産信託受益権で運用していることから生じする問題です。であれば、出資金を不動産信託受益権で運用するのではなく、現物不動産で運用するという方法が考えられます。

この場合、確かに金商法の自己運用を回避することはできますが、代わりに、不動産特定共同事業法や資産流動化法の適用受けます。

<事業から撤退する>
「もう、やめた!」という選択肢もあり得ますが、ここでこの選択肢を検討する必要はないでしょう。論外として選択肢に含めないことにします。

<運用業者として登録する>
結局、今日現在の王道は、助言業者の登録のみを受けているAMが、運用業者として登録を受けるという選択肢です。変更登録と呼ばれる変更手続きが必要になりますが、金商法の枠内で今後ともAMを続けていくためには、この方法が王道でしょう。

だから、最近、AMから「投資運用業の登録について相談したい」という問い合わせが増えているのです。

<変更登録の課題>
変更登録をすると、AMによっては、組織体制の変更を迫られる可能性があります。例えば、二種業者又は助言業者と異なり、運用業者は「取締役会設置会社」でなければなりません。

他にも、二種業者や助言業者と異なり、運用業者は、他の業務の兼業に規制がかかったり、最低資本金は上がり純資産要件が追加されたり、金融庁に関連する問題だけではなく、国交省が規定する総合不動産投資顧問業者としての登録が必要になったりします。

他にも選択肢があるかもしれませんが、いずれにせよ、適格機関投資家等特例業務の見直しに伴う一般投資家の範囲の限定は8月1日から始まるわけですから、助言登録のみのAMのうち、8月1日以降限定される一般投資家の範囲に入らない出資者が存在するスキームしか組めないAMは、今のうちから、複数の選択肢を検討する必要があるでしょう。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

コメント

非公開コメント

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
http://office-jsl.com/

<お問い合わせ>
お問い合わせは、お問い合わせフォームで受け付けます。

<主な業務>
主な業務は、主な業務をご覧ください。

ブログの内容は個人的見解ですので、正確性は保証いたしません。また、ブログの内容に関する質問を含め、質問には一切回答いたしかねますので、ご了承ください。

プライバシーポリシー

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Translation
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード