63条の見直しがAMに与える影響5


平成27年改正金商法の施行に伴う適格機関投資家等特例業務に関する最新情報はこちらから


不動産AM(アセットマネージャー)問題をまとめるとこういうことです。

ここは、不動産ファンドの仕組みの一つであるGK-TKスキームがわからないと理解が難しいところですが、頑張ってみましょう。

GKとは合同会社のことで、TKとは匿名組合契約のことです。

合同会社が営業者(商法の適用)となって、出資者(匿名組合員)と匿名組合契約を結んで金銭の出資を受けて不動産信託受益権(金商法の有価証券)を取得して運用し、出資者が運用益を配当金として請求できる仕組みがGK-TKスキームと呼ばれる仕組みで、このときの配当請求権が金商法で有価証券とみなされて金商法の適用を受け、合同会社が配当請求権である有価証券の取得勧誘を行う行為が「自己私募」と呼ばれる二種業務、出資金を不動産信託受益権という有価証券で運用する行為が「自己運用」と呼ばれる運用業務となる、というのがTK-GKスキームの全体像です。

<原理原則>
従って、原理原則は、GK(合同会社)が、二種登録と運用登録を受け、自己私募と自己運用を行うわけです。

が、合同会社は実態のない特別目的会社(SPC)であるため、登録申請をすることは困難(不可能)です。

<AMによる原理原則の修正>
そこで、資金調達面では、AM(二種業者)が、GKに代わって取得勧誘を行い、GKの二種登録を避けるわけですが、運用面では、AM(助言業者か助言・運用兼業者)はGKに不動産信託受益権の投資を助言するだけで、従って、運用権限はGKに残ってしまうため、GKはやはり運用登録を受けなければならないのです。

<実態>
GKが運用登録を受けることは、法令上無理なので、どうするかというと、GKを「特例業務届出者」にしてしまい、特例業務として(登録なしに)GKが自己私募と自己運用をできるようにするのが実態です。

<特例業務の見直しの影響>
ところが、特例業務制度が見直され、8月1日以降、使えなくなってしまうケースが出現するため、これまでの「実態」が使えなくなり、「AMによる原理原則の修正」に戻ってしまうため、GKが(金商法上不可能な)運用登録をしなければならなくなる、というのが、前回までにお話した「AM問題」の全貌です。

<解決策>
解決策をざっとあげると次の通りです。

1 特例業務の見直しとは、結局、出資者(投資家)を限定することですから、GK-TKスキームの出資者を見直し後の投資家に限定して運用すれば良いというのが、解決策の一つです。ただ、見直し後の限定はハードルが決して低くはないため、この選択肢を選ぶことは、言うは易く行うは難しです。

なお、見直し後の投資家は、適格機関投資家、金融商品取引業者等(法人のみ)、ファンドの運用者、ファンドの運用者の役員・使用人・親会社、上場会社、資本金が5000万円を超える株式会社、外国法人、投資性金融資産を1億円以上保有かつ証券口座開設後1年経過した個人などです。

2 運用業者であるAMが、GKから運用権限の全部委託を受けて、GKが運用登録をする必要性を避ける方法があります。コスト高になりますが、王道の一つです。

3 他の運用業者にGKの運用権限を全部委託する方法もありますが、コストが見合ないでしょう。

4 問題の根源は、不動産信託受益権という有価証券で運用することにあるわけなので、現物不動産による運用に変える方法も選択肢としてはありますが、こうなると、改正不動産特定共同事業法、資産流動化法、投資法人法のいずれかの適用を受けるため、新たな許可申請が必要になったり、流動化計画を作成・届出したり、運用制限を受けたり、コスト高になったりします。

5 助言登録のみをしているAMは、この際、運用登録をしてしまい、2の選択肢を選択するというのも王道です。だから、私のところに「運用登録の相談をしたい」という問い合わせが増えているわけです。

ただし、運用登録をするためには、AMを取締役会設置会社に組織変更し、資本金・純資産を5000万円以上にするための増資を行い、運用方針他の社内規則を整備し、国交省管轄の「総合不動産投資顧問業者」として登録を受けるために、不動産コンサルタントや不動産証券化マスターと呼ばれる資格を有し、なおかつ、数十億円以上の取引に関与したことがあって、2年以上の実務経験がある「判断業務統括者」を置く、というような、聞いただけでも気が遠くなりそうな手続きを踏む必要があります。

お勧めは、2と5の王道です。

いずれにせよ、AMは8月1日に向けて、早々に、現在の「実態」の代替手段を考えなければなりません。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

コメント

非公開コメント

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。コンプライアンス・リスク管理コンサルタントとして、上場会社、が外資系企業など多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
http://office-jsl.com/

<お問い合わせ>
お問い合わせは、お問い合わせフォームで受け付けます。

<主な業務>
主な業務は、主な業務をご覧ください。

ブログの内容は個人的見解ですので、正確性は保証いたしません。また、ブログの内容に関する質問を含め、質問には一切回答いたしかねますので、ご了承ください。

プライバシーポリシー

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Translation
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード