REITの開始手続2


認可宅地建物取引業者となるメリットは次の通りです。

<宅建業法上の義務の免除>
認可宅地建物取引業者が行う取引一任代理等については、媒介契約に係る書面作成・交付義務と代理契約に係る書面作成・交付義務が適用されません。

また、認可宅地建物取引業が取引一任代理等を行う場合には、取引一任代理等に係る委託契約の相手方である投資法人に対しては、重要事項説明書の交付及び説明をする必要がありません。

認可宅地建物取引業者は、投資法人と締結した委託契約に基づき、投資法人を当事者とする不動産の売買の媒介や代理が、複数の宅建業法上の義務の免除を受けてできるということです。

<不動産関連特定投資運用業>
金融商品取引業の一つである「投資運用業」のうち、「不動産信託受益権又は組合契約、匿名組合契約若しくは投資事業有限責任組合契約に基づく権利のうち権利に係る出資対象事業が主として不動産信託受益権に対する投資を行うものを投資の対象とするもの」を「不動産関連特定投資運用業」といいます。

不動産関連特定投資運用業を行うためには、国交省が定める「不動産投資顧問業登録規程」に基づき、総合不動産投資顧問業者として登録を受けなければなりません。

<資産運用会社が総合不動産投資顧問業者である必要性>
不動産信託受益権等に対する投資を行う投資運用業を不動産関連特定投資運用業といい、不動産関連特定投資運用業の登録を受けるためには、総合不動産投資顧問業者である必要性があります。

逆に言うと、不動産関連特定投資運用業の登録を受けないのであれば、登録申請上、総合不動産投資顧問業者である必要性はないことになります。

では、REITを開始するに当たって、投資運用業者は総合不動産投資顧問業者である必要性はあるのかという点ですが、不動産信託受益権等に対する投資を行う投資運用業であっても、投資法人の資産運用会社が投資法人との間で締結する資産運用業務委託契約に基づき行う行為は、不動産関連特定投資運用業ではありません。

したがって、少なくても、法令上の登録申請手続きにおいては、REIT以外に関与しないという場合、投資運用業の登録申請に際し、苦労して(?)総合不動産投資顧問業に係る登録を受ける必要がありません。

以上でREIT開始の前準備は完了です。

次は、「投資法人の設立」です。

<投資法人の届出>
投資法人は、設立企画人が規約(定款に相当)を作成し、署名又は記名押印することで設立されますが、投信法に基づき、あらかじめ財務局長に設立の届出を行わなければなりません。

<投資法人設立届出書>
投資法人設立届出書に記載すべき事項のうち、中心となる「設立しようとする投資法人の概要」は次の通りです。

1 オープン・エンド型、クローズド・エンド型の別

2 設立時募集投資口の募集期間

3 金融商品取引法第2条第3項に規定する募集又は私募の別

4 設立に際して出資される金銭の額

5 設立予定日

6 設立時発行投資口の引受けの申込みの勧誘を行う者の氏名又は商号

7 当該投資法人の資産運用の概要(投資の対象とする資産の種類を含む。)

8 借入金及び投資法人債の発行限度額

9 その他当該投資法人の特徴と認められる事項

<投資法人の登録>
設立された投資法人は、財務局長の登録を受けなければ、資産の運用として、不動産信託受益権の取得又は譲渡、不動産信託受益権の貸借、不動産の取得又は譲渡、不動産の貸借、不動産の管理の委託を行ってはならないことになっています。

もっとも、投資法人は資産運用を資産運用会社に委託しなければできないので、登録前にできる行為とすれば、業務委託契約の締結などに限られます。

<業務の委託>
登録された投資法人を「登録投資法人」といいますが、登録投資法人は、「資産運用会社」に資産の運用に係る業務の委託をしなければなりません。

<資産運用会社>
資産運用会社には、宅地建物取引業者である投資運用業者がなります。また、資産運用会社は、登録投資法人が主として不動産に対する投資として運用することを目的とする場合には、認可宅地建物取引業者である投資運用業者でなければなりません。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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