第一項有価証券と第二項有価証券


証券取引法のとき、2007年9月29日までは、「有価証券」といえば、金融商品取引法の2条1項の有価証券、つまり、株券や社債券や投資信託の受益証券などのことを指していました。金融商品取引法の2条1項、略して金商法2条1項は、前回も登場させました。今回は、金融商品取引法の2条2項、略して金商法2条2項が登場です。なお、このブログで条文を使うのは、金商法2条1項と金商法2条2項だけにする予定です、

<第一項有価証券>
金商法2条2項は、株券や社債券や投資信託の受益証券などの金商法2条1項の有価証券は、有価証券が発行されなくても、有価証券に表示されるべき権利は有価証券とみなすとあります。

表示されるべき権利といわれても、ピンと来ませんよね。株券の場合を考えてみましょう。株券は、印刷された証券です。「券」とつけば、それは、印刷された証券があることを意味します。金商法2条2項がいいたいのは、株券という印刷された証券が発行されなくても、株券をもっているときの権利は、目に見えないけれども、有価証券とみなして、金融商品取引法を適用するという意味です。

株券をもっているときの権利とは、配当金を受け取る権利や、会社が解散したときに残った財産の分配を受ける権利、株主総会で議決権を行使できる権利などです。要するに会社法の「株式」のことですが、株券が発行される株式は金融商品取引法の規制を受けるけれど、株券が発行されない株式は金融商品取引法の規制を受けないというのでは、バランスが悪いですよね。そこで、金商法2条2項は、株券のように金商法2条1項に掲げた有価証券は、印刷された証券が発行されなくても、株券をもっているときの権利を有価証券だということにして、有価証券とみなして、金融商品取引法を適用するといっているわけです。

まとめると株券などの金商法2条1項の有価証券は、印刷された証券が発行される有価証券と、証券が発行されないけれども金商法2条2項で有価証券とみなされる権利があるということです。有価証券とみなされる権利を「みなし有価証券」などといいますが、金融商品取引方は、金商法2条1項の有価証券と、金商法2条2項で金商法2条1項の有価証券と同じとみなされたみなし有価証券を合わせて「第一項有価証券」と呼んでいます。

条文は使わない主義のこのブログで、金商法2条「1項」をどうしても使わなければならなかった理由は、「第一項有価証券」の意味を理解していただきたかったからです。

<第二項有価証券>
第一項有価証券があるくらいですから、「第二項有価証券」があります。金商法2条2項をこのブログに引っ張り出した理由は、第二項有価証券を説明するためです。

金商法2条2項は、金商法2条1項の有価証券は印刷された証券が発行されなくても、証券をもっているときの権利をみなし有価証券として、金融商品取引法を適用すると書いてあることは、今、説明したとおりです。金商法2条2項には、これと合わせて、ほかにも次の権利を有価証券とみなすということも書いてあります。

1. 信託の受益権
2. 合同会社の社員権など
3. 組合契約などの出資者の権利

「信託の受益権」「合同会社の社員権など」「組合契約などの出資者の権利」は、金商法2条1項にはなく、金商法2条2項だけに出てくる「みなし有価証券」ですので、金融商品取引法は、これらの権利のことを「第二項有価証券」と呼んでいます。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
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