REITの開始手続4


REITの開始手続きを駆け足で見てきました。

REITの開始手続きの概要は、次の通りです。

<REIT開始手続きの概要>
1 資産運用会社(設立企画人)になろうとする者が、宅地建物取引業に係る免許を取得する。

これは、投資対象資産に不動産が含まれる場合、資産運用会社は宅地建物取引業者である金融商品取引業者(具体的には投資運用業者)でなければならないからです。

2 1の宅地建物取引業者が、宅地建物取引業法に規定する「取引一任代理等」に係る認可を受ける。

取引一任代理等に係る認可を受けた宅地建物取引業者を「認可宅地建物取引業者」といいますが、投資対象資産が主として不動産である場合、資産運用会社は認可宅地建物取引業者である金融商品取引業者でなければならないからです。

3 2の認可宅地建物取引業者が、「投資運用業」に係る登録を受ける。

4 3の投資運用業者が設立企画人(の一人)となって「投資法人」を設立する。

REITの設立企画人(の一人)は、認可宅地建物取引業者である投資運用業者でなければなりません。

5 4の投資法人が「登録」を受け、登録投資法人となる。

<特定投資運用行為>
3の投資運用業者が、投資法人と資産運用業務委託契約を締結して運用を行う資産運用会社になりますが、投資運用業者は金商法の概念なので、投資運用業として行う運用の対象となる資産は有価証券(又はデリバティブ取引)に限定されます。

ですから、資産運用会社が不動産信託受益権で運用する行為は、当然、金融商品取引業です。

ところが、投資運用業者は認可宅地建物取引業者であることからも、REITの性格からもわかるように、現物不動産で運用することが予定されています。現物不動産で運用する行為は、当然、金融商品取引業ではありません。

投資運用業者には、兼業規制があり、投資運用業者は、金融商品取引業の他、付随業務、届出業務、承認業務しかできません。

投資法人と資産運用業務委託契約を締結して現物不動産で運用する行為を「特定投資運用行為」といいますが、付随業務も届出業務も法令に列挙されている中(前者は例示列挙、後者は限定列挙という違いがあります)、特定投資運用行為は、いずれにも含まれていません。

そこで、投信法は、投資運用業の登録を受けようとする者が特定投資運用行為を行う旨の記載をして、投資運用業に係る登録を受けたときは、特定投資運用行為については、金商法の承認を受けたものとみなす規定を置いています。

この結果、3の投資運用業者は、不動産信託受益権のみならず、現物不動産でも運用を行うことができるわけです。

<不動産関連特定投資運用業との関係>
なお、不動産信託受益権等で運用する行為は、原則として、「不動産関連特定投資運用業」であり、一定の要件(総合不動産投資顧問業に係る登録)を満たさなければ、行うことができませんが、投資運用業者が、投資法人と資産運用業務委託契約を締結して不動産信託受益権等で運用する行為は、不動産関連特定投資運用業から除外されています。

したがって、3の投資運用業者が不動産信託受益権等で運用する行為は、不動産関連特定投資運用業ではなく、条文上は、一定の要件を満たす必要がありません。

以上が、REITスキーム開始手続きの概要です。

これに対し、いわゆるGK-TKスキームで不動産信託受益権による運用を開始する手続きはどうなっているでしょうか。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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