REITの開始手続5


GK-TKスキームの復習ですが、GK(合同会社、SPC)が営業者となり、金銭の出資者である匿名組合員とTK(匿名組合契約)を締結し、GKが出資された金銭を不動産信託受益権で運用し、収益をTK持分の出資者に分配する仕組みです。

REITスキームにおいても、GK-TKスキームにおいても、出立点は、投資運用業に係る登録をしようとする者が「宅地建物取引業者」として免許を取得するところから始まります。

ただ、理由が違います。

<宅建業者>
REITスキームの場合、投資法人と資産運用業務委託契約を締結する資産運用会社は、運用財産が不動産である場合、最低でも宅建業者であることが投信法上求められています。だから、資産運用会社は宅建業者でなければならないわけです。

これに対し、GK-TKスキームの場合、GKから投資判断および投資権限を委託された投資運用業者は、原則として、後述する「総合不動産投資顧問業者」として登録を受ける必要があるのですが、総合不動産投資顧問業者として登録を受けるための要件が、資産運用会社が宅建業者であることが求められます。だから、資産運用会社は宅建業者でなければなりません。

同じ宅建業者でも、求められる根拠が異なります。

<総合不動産投資顧問業者>
GK-TKスキームにおいて、GKから投資判断と投資権限を委託される者は、原則として、後述する「不動産関連特定投資運用業」の登録を受けなければなりません。

不動産関連特定投資運用業(投資運用業の一種)の登録を受けるためには、金融庁告示により、投資運用業に係る登録をしようとする者が、総合不動産投資顧問業者であることが求められます。

だから、投資運用業に係る登録をしようとする者は、一般に、総合不動産投資顧問業者として登録を受けなければなりません。

<不動産関連特定投資運用業>
不動産関連特定投資運用業とは、不動産信託受益権で運用を行う投資運用業者を指します。GK-TKスキームでは、GKが不動産信託受益権を取得・譲渡するため、GKのために資産運用を行う投資運用業者は、不動産関連特定投資運用業の登録を受ける必要があります。

一方、REITスキームにおいても、投資法人は不動産信託受益権で資産運用する場面が出てくるかもしれません。

では、不動産関連特定投資運用業の登録を受ける必要があるかというと、例外として、投資法人と資産運用業務委託契約を締結して不動産信託受益権で運用を行う場合には、資産運用会社(投資運用業者)になろうとする者は、不動産関連特定投資運用業の登録を受ける必要がありません。

したがって、GK-TKスキームではGKと契約している投資運用業者の業務は、不動産関連特定投資運用業となりますが、REITスキームにおいては、投資法人と資産運用業務委託契約を締結している資産運用会社(投資運用業者)は、不動産関連特定投資運用業として登録を受けている必要がないのです。

<特定投資運用行為>
GK-TKスキームで不動産信託受益権の運用を行っているある投資運用業者の方が、上場REITの事業に参入するという話がありました。

実際、作業に入ってみて、社内規則の改定で苦労されているようですが、許認可関係も簡単ではありません。

「特定投資運用行為」とは、投資法人と資産運用業務委託契約を締結し、当該契約に基づき、不動産等に対する投資として金銭その他の財産の運用を行うことをいいます。

特定投資運用行為を業として行う場合、不動産信託受益権ではなく、現物不動産で運用することができるわけです。

REITスキームにおいては、特定投資運用行為は、欠かせない行為(業務)ですが、特定投資運用行為は金商法の「承認業務」です。

ところが、業務方法書に、投資運用業の登録を受けようとする者(申請者)が業として特定投資運用行為を行う旨の記載がある場合であって、申請者が登録を受けたときは、申請者は特定投資運用行為を行う業務につき承認を受けたものとみなすという規定があります。

わかりやすく言えば、投資運用業の登録を「受けようとする」者が、業務方法書に特定投資運用行為を業として行う旨を記載していた場合であって、実際にめでたく「登録を受けたとき」は、自動的に特定投資運用行為を行うことについて承認を受けたものとみなすということです。

したがって、特定投資運用行為を行うことにつき、みなし承認を受けることができる者は、少なくても条文上は、まだ、投資運用業の登録を受けていないものに限ります。GK-TKスキームを想定して投資運用業の登録を既に受けてしまっている者には、このみなし承認の制度が利用できないのです。

<他の許認可>
加えて、GK-TKスキームを想定して投資運用業の登録を既に受けてしまっている者は、宅建業法に基づき取引一任代理等に係る認可を受けなければなりません。

GK-TKスキームにおける投資運用業者が、REITを開始できない道理はありませんが、初めからREITスキームを想定して投資運用業の登録を進めた者と違い、複数の許認可関係を一つ一つ紐解く必要があります。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

コメント

非公開コメント

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
http://office-jsl.com/

<お問い合わせ>
お問い合わせは、お問い合わせフォームで受け付けます。

<主な業務>
主な業務は、主な業務をご覧ください。

ブログの内容は個人的見解ですので、正確性は保証いたしません。また、ブログの内容に関する質問を含め、質問には一切回答いたしかねますので、ご了承ください。

プライバシーポリシー

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Translation
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード