REITの開始手続6


最近、REITの開始手続きに関するご相談が多いので、REITを特集しています。

前回は、GK-TKスキームに必要な許認可を取得している投資運用業者がREITスキームにも取り組みたいという場合の留意点についてお話しました。

逆に、REITスキームに必要な許認可は得ているんだけど、GK-TKスキームにも参加したい場合の許認可の関係はどうなるでしょうか。

<REITからGK-TKスキーム>
GK-TKスキームの場合、GKと投資一任契約を締結する投資運用業者は、原則として、総合不動産投資顧問業の登録を受けなければなりません。ところが、REITを開始する際に受ける投資一任代理等の認可の申請手続きは、総合不動産投資顧問業の登録を受ける手続きとほとんど同じです。

そこで、投資一任代理等の認可を取得している認可宅地建物取引業者は、一定の要件を満たしていれば、GK-TKスキームを開始しようとする際に、あらためて、綜合不動産投資顧問業の登録を受ける必要がないと考えられます。(「一定の要件を満たしていれば」というところが重要です。)

つまり、認可宅地建物取引業者であれば、総合不動産投資顧問業の登録を受けることなく、不動産関連特定投資運用業を行うことができることが原則になります。ですから、REITスキームからGK-TKスキームに参入することは、許認可手続きの面においては、GK-TKスキームからREITスキームに参入することと比較し、スムーズにいく可能性が高いです。(繰り返しになりますが、「一定の要件を満たしていれば」が前提です。)

次のパターンとして、ゼロからREITスキームとGK-TKスキームを同時に開始したい場合の手続きについて考えてみましょう。

<REITとGK-TKを同時に進める>
REITスキームは、次の手順を踏むんでしたね。

1 宅地建物取引業の免許を取得する

2 取引一任代理等の認可を取得し「認可宅地建物取引業者」となる

3 投資運用業の登録を受ける(投信法に定める特定投資運用行為について金商法のみなし承認を取得する)

一方の、GK-TKスキームの手続きは、次の通りです。

1 宅地建物取引業者の免許を取得する

2 総合不動産投資顧問業の登録を受ける

3 投資運用業(不動産関連特定投資運用業)の登録を受ける

ゼロから、両方を同時開始するためには、この2つの手続きを何とか一体として進めることになります。

<取引一任代理等と総合不動産投資顧問業>
REITを開始するためには、資産運用会社は取引一任代理等に係る認可が投信法上必須です。例外はありません。

一方、GK-TKスキームにおいて、なぜ、総合不動産投資顧問業に係る登録を受けるかというと、金融庁告示54号で、不動産関連特定投資運用業に係る登録を受けるためには、総合不動産投資顧問業又は同等の資格要件があるからです。

ここがポイントで、総合不動産投資顧問業は必須かというとそうではなく、同等と認められる要件が満たされていれば、総合不動産投資顧問業に係る登録を受ける必要はないことになります。

実務的に、取引一任代理等に係る認可申請手続きと、総合不動産投資顧問業に係る登録手続きは、提出する書類の一部が似ています。書類が似ているということは、審査も同等の審査が行われると考えられます。

ということは、不動産関連特定投資運用業に係る登録においては、総合不動産投資顧問業に係る登録を受けるのではなく、必須である取引一任代理等に係る認可を受けても良いのでは、ということになります。

そして、実際、一定の要件を満たせは、不動産関連特定投資運用業に係る登録は、取引一任代理等に係る認可を受けていれば可能であると考えられています。(「一定の要件を満たせば」というところが重要です。)

したがって、REITとGK-TKをダブルで開始するための投資運用業に係る登録手続きは、次のようにすれば良いことになります。

1 宅地建物取引業に係る免許を取得する

2 取引一任代理等に係る認可を受ける

3 投資運用業に係る登録を受ける(金商法上の不動産関連特定投資運用業と投信法の特定投資運用行為を兼ねる)

ただし、総合不動産投資顧問業に係る登録と違って、取引一任代理等に係る認可手続きはベールに包まれている(?)こと、また、総合不動産投資顧問業の代わりに取引一任代理等で良いどうかは、一定の要件を満たしている必要があることから、REIT開始の手続きに関して、実際に国交省と金融庁に足繁く通った経験のある専門家に相談することをお勧めします。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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