内部管理態勢2


内部管理態勢の整備を進めるうえで、すべての金商業者が最初にやるべきことは、「業務方法書の見直し」です。

<業務方法書>
業務方法書とは、登録申請の際に登録申請書の添付資料として提出した、業務の内容などを記載した書面です。

「いや、そんなことはわかってるけど、業務方法書の見直しと内部管理態勢と、どういう関係があるの?」

大きな関係があります。

業務方法書の本質は何かというと、金商業者にとっての憲法です。金商業者によるすべての活動の基礎は、業務方法書にあります。社内規則を山のように作っても、憲法である業務方法書がダメならすべてダメです。

「ダメな業務方法書なんてあるの?」

皆さんに問いかけたいのですが、業務方法書を隅から隅まですべて熟読したという方は何名くらいいらっしゃるでしょうか。

私は、仕事柄、人前で話をすることが多いですが、この質問を100人にすると、「熟読したことがある!」という人は1人しかいません。100分の99は、業務方法書を隅から隅まで読んだことがないという、おそらく財務局にとっては驚愕な事実が存在します。

<憲法としての業務方法書>
少なからずの金商業者は、業務方法書の作成を行政書士に依頼したり、自力で作成するにしても、財務局がサイトで公表しているサンプルをそのまま使用したりしているようです。

サンプルを見て、業務方法書を作成された方は、相当良い方で、行政書士が競って「登録手続きやります!」とサイトで謳っているものだから、行政書士に任せてしまっている金商業者が少なくありません。

これは、ダメです。

「登録手続きをやります!」という行政書士に次のように聞いてみてください。

「あなたは、金商業者で法務やコンプライアンスの責任者として実務をやったことがあるんですか」

私の知る限り、いません。

繰り返しますが、業務方法書は金商業者にとって憲法です。実務も知らない、金商業者の法務やコンプライアンスの責任者をしたこともない人に、どうして憲法が書けるのでしょうか。

そもそも、「業務方法書は金商業者の憲法ですよ」と言ってくれた行政書士はいたでしょうか。これも、いないでしょう。

中には、正しい業務方法書の書き方を知っている行政書士がいますが、確かな業務方法書を書くことができる行政書士は極めて少ないのが事実です。

なぜ、言い切れるかというと、私は、多くの金商業者の方から内部管理態勢の検証を依頼される中で、行政書士が作ったという業務方法書の内容をつぶさに検証してきているからです。

<危険な業務方法書>
行政書士に作成を任せたにせよ、財務局が公開しているサンプルを見て自力で作成したにせよ、いずれも、多くの場合、「危険な業務方法書」であることには変わりません。

どうして危険なのでしょうか。

次回は、具体的に、どこがどう危険なのかを指摘していき、業務方法書の見直しを行うことで、内部管理態勢をあらためて整備する作業に入ります。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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