内部管理態勢6


財務局が公表している業務方法書の中で、唯一と言っても良いくらい「緩い」のは、社内研修の実施に関する記載です。

<第9条>
「社内教育・研修部門は、本店総務部とし、役職員の資質の向上を図るため、コンプライアンス全般及び業務全般に関する研修を定期的あるいは随時実施することとする。」

社内研修は、「定期的あるいは随時」実施されるとあります。

この意味は、「定期的に実施することは義務で、他にも法令等の改正の際には、随時実施しなさい」なのですが、「定期的あるいは随時」と書くと、まるで、随時実施すれば良いという誤解を生じかねません。

いずれにせよ、コンプライアンス全般に関する社内研修は、最低でも6か月に1回は、実施されなければなりません。

財務局が公表している業務方法書の記述の中で、研修に関する記述は危険ではなく、むしろ、緩すぎて、金商業者の内部管理態勢の弱体化を促しかねません。

<別紙規程>
内部管理態勢とは、直接の関係はありませんが、財務局が公表している業務方法書の最後の注意書きに、こう書いてあります。

「業務方法書の中で、上記規程を「別紙○○規程の定めによる」などと引用している場合は、業務方法書を構成する一体の社内規程とみなします。よって、当該規程に変更が生じた場合は、業務方法書の変更届出を行う必要があります。」

「別紙○○規程の定めによる」と書くと、業務方法書はすっきりするので良いのですが、うっかりすると、別紙規程の変更に伴う変更届出を失念するおそれがあります。

だから、別紙規程方式はとらない方が得策です。

<定期的>
危険な業務方法書の最後に、「定期的」という単語の「使用上の注意」について触れておきます。

業務方法書に限らず、その他の社内規程においても「定期的」という単語が頻繁に使用されている社内規程を見かけますが、定期的という単語を使用するときは、よほど慎重に使用しなければなりません。

「定期的」と記載されている業務が、定期的に実施されていなければ、社内規則違反ですし、その社内規則が業務方法書だった場合は、業務方法書の虚偽記載です。

社内規則に定期的と記載されていながら、定期的に実施されていない業務がある状態は、内部管理態勢の不備として指摘されますので、定期的という単語は慎重に使用しなければなりません。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

コメント

非公開コメント

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
http://office-jsl.com/

<お問い合わせ>
お問い合わせは、お問い合わせフォームで受け付けます。

<主な業務>
主な業務は、主な業務をご覧ください。

ブログの内容は個人的見解ですので、正確性は保証いたしません。また、ブログの内容に関する質問を含め、質問には一切回答いたしかねますので、ご了承ください。

プライバシーポリシー

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Translation
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード