法定帳簿3


注文伝票は、自己(自社)が当事者となって、みなし有価証券を含む有価証券の売買を行った際に作成する法定帳簿です。

「売買」とは、既に発行された有価証券の取引を指すのであって、新たに発行される有価証券の取引、つまり、発行者との取引は売買とは言わないというところまで、前回はお話をしました。

<受注日時と約定日時>
注文伝票で悩ましいことの一つは、受注日時と約定日時を記載しなければならない点ですよね。

受注日時とは、顧客から注文を受注した日時のことです。約定日時とは、受注した注文が成立した日時です。

上場株券の場合は、簡単です。今は、ネット取引が主流ですから、ネット取引を前提にすると、顧客が買い注文又は売り注文を入力した日時が受注日時、顧客の注文が成立した日時が約定日時です。

流動性が低い有価証券の場合、受注日時と約定日時をどう考えるのかが問題です。いったい、いつが受注日時で、いつが約定日時になるのでしょうか。

不動産信託受益権を例にとってみましょう。

自己(自社)で不動産信託受益権を買い付けたとします。この不動産信託受益権を「売って欲しい!」という顧客が現れました。

上場株券と同じ考えに立つと、この「売って欲しい!」という意思表示があったときが、「受注日時」です。

そして、実際に売買が成立した日時が「約定日時」になります。

これは、現実的でしょうか?

<実務的な運用>
多くの場合、顧客が「売って欲しい!」というから、自己でいったん買い付けるのが通常でしょう。

そして、買い付けたとほぼ同時に顧客に売付けることになります。

この場合、受注日時と約定日時はいつになるでしょうか。

現実的な運用としては、流動性の低い有価証券の売買の受注日時と約定日時は同時刻にせざるを得ません。

ですから、顧客が「売って欲しい!」(別の言い方をすると「買いたい!」)と言ったときを約定日時とはせず、自己と顧客との間で売買契約を交わしたとき、つまり、契約書に押印したときを受注日時とし、約定日時と同一時刻とすることが許容されるべきだと考えます。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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