第二種金融商品取引業(2)


信託受益権の中で、最も発行量や流通量が多いのは、不動産の信託受益権です。一説には、信託受益権の総額の80%以上が不動産信託受益権だということです。不動産信託受益権を取扱う会社は、宅建業者かアセットマネージャーのいずれかでしょう。実際の売買などを行うのは宅建業者になりますから、宅建業者が不動産信託受益権を取扱うために、金融商品取引業者としての登録を受ける場合について、説明します。

<取扱い方法の種類>
宅建業者が、不動産信託受益権を取扱う方法は、次のいずれかです。
① 自己募集
② 募集又は私募の取扱い
③ 売買
④ 売買の媒介・代理

<不動産信託受益権の自己募集>
不動産信託受益権の自己募集とは何か。信託の仕組みにつきましては、信託の受益権で詳細に説明しました。不動産信託受益権の取引きは、オリジネーターである不動産の所有者が委託者となり、受託者である信託銀行に不動産を信託して、信託銀行が発行する不動産信託受益権を取得するところから始まるものがほとんどです。

まず、信託の受益権は、いかなる場合も金融商品取引法に規定されている有価証券であることを認識してください。いかなる信託の受益権もです。例外はありません。不動産信託受益権もしかりです。

次に、自己募集ですが、自己募集という用語は、金融商品取引法にはありません。信託受益権を含む有価証券を発行する発行者が投資家を探す行為を通常自己募集と呼んでいます。

ここから少しややっこしくなりますが、何度か読み直せば必ずわかりますから、大丈夫です。不動産信託受益権という有価証券を発行する発行者は信託銀行です。ということは、信託銀行がオリジネーターに信託受益権を取得させる行為が自己募集になりそうですが、金融商品取引法は、委託者が当初受益者の場合、委託者が信託受益権を販売する行為が自己募集であると特別に規定しています。ですから、委託者であるオリジネーターが不動産信託受益権を最初に譲渡することが自己募集です。

金融商品取引法は、信託受益権の自己募集は、金融商品取引業であるとは規定していません。宅建業者が所有する不動産を信託銀行に信託し、不動産信託受益権を取得して、他人に譲渡しようとする行為は信託受益権の自己募集ですから、金融商品取引業ではありません。ですから、信託受益権の自己募集は金融商品取引業ではなく、したがって、金融商品取引業者となるためにわざわざ登録手続きをとる必要はありません。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
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