証券取引等監視委員会検査


9月に入り、証券取引等監視委員会(財務局)の検査が本格化しています。昨日現在で、20社以上に入っています。

私に入っている情報では、証券取引等監視委員会のサイトで公表されている金商業者以外にも、検査が実施されています。

ちなみに、サイトで公表されていない金商業者で検査が実施されているという情報は、本人から聞いているので間違いないと思うのですが、とても不思議な現象です。

業種は多岐にわたります。

<不動産関連会社>
不動産関連会社にも入っていますが、ほとんどの不動産関連会社にとって、金商業(不動産信託受益権販売業)は、全体の業務のほんの一部でしかありません。

しかも、事実として、不動産信託受益権の売買等、つまり、金商業の実績がない会社もたくさんあります。

不動産関連会社の証券取引等監視委員会(財務局)の検査に対する反応は、2つに分かれます。

一つは、検査を非常に警戒している会社、もう一つは、実績がないのだから、まったく気にしない会社です。

まったく気にしない会社が、金商法54条を知っているのか、知らないのかわかりませんが、非常に危険です。

金商法54条は、金商業者が3か月以上金商業を行わなかったときは、金商業者としての登録を取り消すことができると規定しています。

実績がゼロならせっかく受けた登録が取り消されてしまう可能性があるということです。

取り消されるのが困る場合、実績はゼロでも、取引に向けて鋭意努力していなければなりません。

鋭意努力するということは、投資者に対する勧誘が行われているわけで、勧誘が行われているということは、特定投資家制度に関する規定や広告規制が適用されますし、契約締結前交付書面や契約締結時等交付書面、法定帳簿は、いつ取引があっても良いようにすべて準備されていなければなりません。

証券取引等監視員会(財務局)の検査をまったく気にしない会社の中には、特定投資家にアマなりの告知をした痕跡がない(というかしていない)とか法定帳簿をまったく揃えていない会社もあるようです。

こうなっては、金商法54条に基づいて、登録を取り消されても文句は言えません。

「証券取引等監視委員会(財務局)の検査には警戒せよ!」とまではいいませんが、金商法を遵守するための体制は整えておきましょう!といえます。

<投資助言業者>
投資助言業者が、打たれる(検査で指摘を受けて行政処分を受ける意味の業界用語)原因の中で最も多いのは、「有価証券の勧誘をした」というものです。

「いや、紹介はしたが勧誘はしていない」と言い張る投資助言業者がいますが、紹介も勧誘も同じことです。

典型的な事例は、助言業者が別会社を作り、有価証券の助言と称して勧誘を行い、販売高に応じて別会社で発行者から報酬を受け取るというパターンです。

説明するまでもなく、明々白々な無登録営業です。

<投資運用業者>
運用業者が指摘を受ける事例で最も多いのは、利益相反取引や利害関係者との取引です。けん制が効いていない利益相反取引や利害関係者取引は通常違法です。

<非開示義務>
検査の非開示義務について、若干触れておきましょう。

証券取引等監視委員会(財務局)の検査が始まると、金融商品取引業者は、「非開示承諾書」という承諾書を提出します。

検査の話は一切口外しないという約束をするわけです。

にもかかわらず、口外しているケースがあるようです。

これはダメです。

約束はきちんと守りましょう!という当たり前のことをしなければなりません。

制度として、一切、口外できないのは不都合だろうから、という理由で、開示申請といって、特定の問題については、特定の人に開示させて欲しい!という機会があります。

口外する場合は、制度に従わなければダメなのです。もし、開示申請をしないで(開示の承認を受けないで)検査のことについて口外すると、「検査忌避」です。

検査忌避は、最悪、忌避した当人(口外した人)の懲役刑、良くて、会社の営業停止です。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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