金融商品取引法11


投資助言業務について触れておきましょう。

投資助言業務とは、当事者の一方が相手方に対して有価証券の価値等に関して、助言を行うことを約束し、相手方がそれに対して報酬を支払うことを約束する契約を締結して、契約に基づいて、助言を行うことです。

この契約のことを「投資顧問契約」と呼びます。金商法施行前の投資顧問業法に倣ったものです。

<報酬のない助言>
投資助言業務の定義を読むと、相手方から報酬をもらわなければ、金商法に縛られることなく、助言ができるように見えます。

これは、間違いです。

よく読むとわかるのですが、投資助言業務とは、投資顧問契約を締結して、助言を行うことです。

投資顧問契約とは、「助言をしますよ」という約束と「助言に対して報酬を払いますよ」という約束の2つがあれば成立します。

重要な点は、実際に、報酬を受領したかどうかは、投資助言業務かどうかの判断に関係ない点です。「約束」するだけで投資顧問契約は成立してしまうからです。

だから、「報酬を受領できるという約束はあるんだけれども、実際には受領していない、なので、投資助言業務にはあたらない」とは言えないということです。

ここ、大丈夫でしょうか。

投資助言業務に該当するかどうかは、報酬を受領したか否かで決まるのではなく、報酬を受領できるという約束があるかないかで決めるという点は、とても重要な点です。

<投資運用業>
投資運用業には、次の4つの種類があります。

1 投資一任契約を締結して顧客の資産を運用する行為

2 投資法人と委託契約を締結して資産を運用する行為

3 投資信託委託会社が資産を運用する行為

4 組合契約に基づき出資された金銭を自ら運用する行為

<共通点>
いずれの場合も共通していることは、投資判断に基づき、他人の資産を運用する権限が与えられるという点です。

例えば、投資一任契約であれば、顧客と投資一任契約を締結した者は、自らの投資判断に基づき、顧客の資産を運用する権限が与えられます。

ここから、投資運用業に関連して常に問題になるのは、権限を与えられた者は、顧客から与えられた権限を他人に委託することができるのか、という点になります。

<相違点>
1から4の相違点のうち、重要な点は、1から3と4の場合とでは、投資対象資産が違うという点です。

別の言い方をすると、投資運用業に該当するかどうかの要件が、1から3は共通で、4だけ違うという点です。

まず、4から説明すると、4は「自己運用」と呼ばれる行為で、典型的には、匿名組合契約に基づき営業者が匿名組合員から出資を受けた金銭を自ら運用する行為や、投資事業有限責任組合契約に基づき、無限責任組合員が有限責任組合員から出資を受けた金銭を自ら運用する行為が該当します。

4の場合、投資運用業に該当するかどうかの境界線は、出資金の過半数を有価証券又はデリバティブ取引で運用しているか否かというところです。

具体的にいえば(レンダーから借入れがないとすると)、投資対象資産に占める有価証券(又はデリバティブ取引)の割合が50%以下であれば、投資運用業にならないということです。

1から3は違います。

具体的にいえば、例えば、投資一任契約を顧客と締結して、顧客の資産の99%を現物不動産で運用し、残り1%のみ不動産信託受益権(有価証券)で運用している場合であっても、運用行為は投資運用業に該当するということです。

「顧客の資産を主として有価証券で運用すると投資運用業になるけれど、そうでなければ投資運用業にならない」と記憶している方が散見されます。

が、それ、違います。

投資運用業に該当するかどうかの判断基準が、主として有価証券で運用しているか否かにある行為は、自己運用のみであって、投資一任契約を締結する場合は、0.1%でも有価証券で運用すれば、投資運用業に該当するのです。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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