財コンサルティングに対する行政処分


昨日、近畿財務局が、株式会社財コンサルティングに対する検査の結果、法令違反行為が認められたとして、業務改善命令を出しました。

近畿財務局の公表によると、同社は、外務員の登録を受けた者でなければ外務員の職務を行うことができないという認識があったにもかかわらず、外務員の登録を受けていない同社使用人に、所属金融商品取引業者が取り扱う投資信託の取得勧誘等の外務員の職務を行わせていたということです。

「所属金融商品取引業者」と記載されていることから、同社は、「金融商品仲介業者」であることがわかります。

<金融商品仲介業者>
金融商品仲介業者は、証券会社又は投資運用業者の委託を受けて、次の業務を行う登録業者です。

1 委託の媒介

2 私募の取扱い

3 投資顧問契約又は投資一任契約の締結の媒介

二種業者や助言業者のために、金融商品仲介業を行うことは認められていません。二種業者や助言業者には、金融商品仲介業者を監督するだけの組織体制がないからと考えられます。

「委託の媒介」の「委託」とは、「顧客(投資家)の注文」という意味です。ですから、委託の媒介とは、顧客の注文を証券会社につなぐ行為を指します。

私募の取扱いは、文字通り、証券会社の委託を受けて、顧客(投資家)に対し、新たに発行される有価証券の取得勧誘を行う行為です。

<外務員制度>
証券会社は、第二項有価証券を除く有価証券、つまり、特定電子記録債権を除く第一項有価証券の売買、売買の媒介、取次ぎ又は代理を、外務員登録を受けていない者に行わせることが禁止されています。

簡単に言えば、証券会社は営業員を全員外務員登録させなさいという規定です。

登録の義務が課されているのは、外務行為(営業)を行う者ではなく、証券会社である点に注意です。

外務員制度はなぜあるのか?

理由は、責任の所在を明確するためです。営業員が事故を起こした場合、誰が使用者責任を取るのかはっきりさせようという制度です。

ですから、外務員登録を二か所以上で受けることはできません。また、証券会社Aの外務員登録を受けている者は、証券会社Bのために外務行為(営業)をすることもできません。

金融商品仲介業者にも、外務員制度が適用されます。金融商品取引業者は、第一種金融商品取引業を行うのですから当然の規定です。

<外務行為>
証券会社や金融商品仲介業者にとって問題となるのは、外務員として登録する者の範囲です。

有価証券の売買や媒介、取次ぎ又は代理を行う者を外務員として登録するのは当然です。

では、営業用のパンフレットを作成する者はどうなるでしょうか?

考え方として、証券会社や金融商品取引業者は、勧誘行為を含み得る行為をする者をすべて外務員として登録する必要があります。

営業用パンフレットも、会社の紹介であるなら作成者に外務員登録をさせる必要はありませんが、具体的な商品の勧誘に当たる資料であれば、作成書を外務員として登録させなければなりません。

アナリストレポートを作成する者はどうか?

アナリストレポートは、有価証券の価値判断を示す資料であって、勧誘を目的とするものではありません。ですから、アナリストレポートの作成者は、一般的に、外務員登録を受ける必要がありません。

もっとも、当然のことですが、アナリストレポートという名前のプレゼンテーション資料であれば、作成者を外務員として登録させなければなりません。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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