投資運用業の登録3


総合不動産投資顧問業の登録は、当たり前ですが、登録申請書を作成するところから始まります。

ただし、実務的には、登録申請書を提出する前に、一定の資料を揃えたうえで、国交省と事前面談があります。事前面談では、登録審査を受けることができる社内体制であることを証明することが必要です。

<登録申請の手続>
面談の後、いきなり、登録申請書を書き始めても構いませんが、完成は、まず、ムリです。登録申請書を作成する前に、社内規則を整備する必要があるからです。社内規則が整備されていなければ、登録申請書を書くことは不可能です。

ですから、面談→登録申請書の作成ではなく、面談→社内規則の整備→登録申請書の作成となります。

私の場合も、この順番で進めていましたが、最新の事例では、順番を変えて、社内規則の作成→面談→登録申請書の作成、あるいは、社内規則の作成→登録申請書の作成→面談の順番にしています。

ただし、面談を後にするということは、登録審査を受けることができる社内体制が既に整備されているという自信が前提です。登録申請書の作成までしてしまって、ふたを開けてみたら、社内体制が整備されていなかったでは、登録申請書の作成作業が徒労に終わってしまうからです。

だから、一般的には、面談→社内規則の作成→登録申請書の作成という、オーソドックスな順番で手続は進めることになります。

「順番が違っても、作業は変わらないんだから、トータルでかかる時間は同じじゃないか」

こう考えがちですが、ベストは、私の最新の事例の通り、社内規則の作成→登録申請書の作成→面談です。

社内規則を作成して行くなかで、自然に、社内体制が整備されてくること、また、社内体制の整備の過程で人事異動が必要になることがあった場合、金融庁の手続である不動産関連特定投資運用業に係る登録手続に備え、業務方法書の変更に係る変更届出書の提出や政令で定める使用人の変更に係る変更届出書の提出が必要になることからです。

<社内規則の整備>
総合不動産投資顧問業の登録手続においては、社内規則の整備が欠かせません。しかも、目的は、不動産関連特定投資運用業の登録を受けることですから、金融庁の手続も見据えて、社内規則を作成する必要があります。

担当者だけで登録を受けようとする会社もあるようですが、プロでもない限り、質・量ともに一人でできる作業ではありません。

社内規則の整備は、どこから始めるかと言うと、「定款」からです。

<定款>
定款では、事業の目的と取締役会の手続が重要です。当然ですが、(用語は別にして)不動産投資顧問業と投資運用業が目的になければ、いずれも行うことができませんので、定款の変更が必要になります。

定款次第では、臨時株主総会を開催する必要があり得ます。

取締役会の手続は、(当然のことですが)社内規則「取締役会規程」との整合性が求められます。

<取締役会規程>
総合不動産投資顧問業・不動産関連特定投資運用業においては、取締役会の機能が重要になります。だから、実務的には、取締役会規程の改正が、通常、不可欠になります。

取締役会規程を改正するのはいいのですが、定款の内容と異なることは書けません。定款の内容と異なる場面が出てきた場合には、定款変更が必要です。これは、本末転倒な感じがしますので、取締役会規程の改正の際には、定款をあらためて参照する必要があります。

例えば、別の機会でお話しする利害関係者取引の承認手続を取締役会規程に定める場合、「役員全員(当該利害関係者を除く)の出席と全員の賛成を要する」などとしてしまうと、見栄えは良いですが、多くの場合、定款と異なってしまいます。

取締役会規程の改正のポイントとなり得るのは、別の機会でお話しする「コンプライアンス委員会」と「投資委員会」の決議事項を取締役会でどうするかという点です。この点については、コンプライアンス委員会と投資委員会を説明する際に、説明することにします。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。コンプライアンス・リスク管理コンサルタントとして、上場会社、が外資系企業など多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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