第二種金融商品取引業(6)


第二種金融商品取引業の登録を受けなければならない会社は、当然ですが、宅建業者に限った話ではありません。証券取引法が発展的に解消されて金融商品取引法になった理由の一つは、宅建業者ではなく、集団投資スキームの運営者の取り締まりのためです。わかりやすくいってしまえば、怪しげな団体が個人からお金を集めて、インチキや詐欺まがいのことをするのを防止するため、また、インチキや詐欺まがいのことをした業者を撲滅するために、第二種金融商品取引業が導入されたわけです。

<集団投資スキーム>
集団投資スキームという言葉は、金融商品取引法の用語ではありません。要するに、複数の者から金銭の出資を受けて、出資金や借入金で事業を行い、出資者に利益を配当する仕組みのことを、集団投資スキームといいます。

キーワードは、「出資」「事業」「配当」です。詳しいことは、拙著「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)をご覧ください。簡単にいうと、「出資」「事業」「配当」の3拍子がそろえば、どんな形態であろうと、第二種金融商品取引業の登録を受けなければ、お金を集めることができません。関西のある業者が「金融商品取引法なんて知らなかった」と言いながら逮捕されてしまいましたが、法律にそう書いてありますので、知らなかったでは済まされません。

<自己募集>
集団投資スキームのことは「ファンド」と呼ばれることが多く、金融庁もファンドと呼んでいますので、ここでもファンドと呼ぶことにします。ファンドの場合は、自己募集が金融商品取引業ですので、金融商品取引業者として登録を受けていなければ、自己募集をすることができません。

ファンドの場合、自己募集とは、お金を集めることです。タイ国でえびの養殖事業をするからお金を集めるとか、国産牛の飼育事業のためにお金を集めるとか、森林植栽事業のためにお金を集めるとか、いかにもうさん臭い投資話で、仮に詐欺であったとしても、詐欺であることとは関係なく、とにかく、お金を集めて、事業を行い、利益が出たら配当する仕組みを提供してお金を集めると自己募集という金融商品取引業になります。

ファンドの形態は問いません。匿名組合や投資事業有限責任組合など組合契約でお金を集めることが典型的なファンドですが、組合契約でなくても、「出資」「事業」「配当」の3拍子がそろえば金融商品取引法の集団投資スキームであり、ファンドの自己募集を第二種金融商品取引業の登録を受けないで行うと3年以下の懲役と刑事罰の対象になります。

なお、投資事業組合という投資事業有限責任組合と紛らわしい名前の組合がありますが、投資事業有限責任組合は、投資事業有限責任組合契約に関する法律で、名称に投資事業有限責任組合という文字を用いなければならないとありますので、単に、投資事業組合といった場合は、民法上の任意組合です。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

コメント

非公開コメント

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
http://office-jsl.com/

<お問い合わせ>
お問い合わせは、お問い合わせフォームで受け付けます。

<主な業務>
主な業務は、主な業務をご覧ください。

ブログの内容は個人的見解ですので、正確性は保証いたしません。また、ブログの内容に関する質問を含め、質問には一切回答いたしかねますので、ご了承ください。

プライバシーポリシー

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Translation
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード