ファンドと金融商品取引法3


ファンドの自己募集や募集の取扱い・私募の取扱いは、金融商品取引業者(第二種金融商品取引業)でなければできないと説明してきましたが、カッコ内の「第二種金融商品取引業」とは何でしょうか。

<第一項有価証券と第二項有価証券>
証取法(証券取引法)から金商法になって、変わったことの一つに、有価証券の種類が、「第一項有価証券」と「第二項有価証券」に分かれた点があります。

第一項有価証券とは、株券、社債、投資信託、資産流動化法の特定目的会社が発行する優先出資証券や特定社債など、主として「有価証券」(紙、モノ)が発行され得る有価証券を指します。

金商法第2条第1項に有価証券(紙、モノ)の定義があるため、株券などは現在は発行される方が稀ですので、第2条第2項で定義される、発行されなくても有価証券に表示される権利(有価証券表示権利といいます)も含めて、第一項有価証券と呼びます。

第二項有価証券は、有価証券(紙、モノ)が発行される予定がない、仮に、紙が印刷されても、有価証券(換金できる紙)ではない「権利」を指します。

具体的には、信託受益権、組合出資持分などを指します。

証券化実務では、一般社団法人の社員権(これも第二項有価証券)が重要ですが、重要な場面は証券化実務くらいですので、ここでは省略します。

また、合同会社の社員権も第二項有価証券ですが、実務では気にとめられていないので、ここでは省略します。

第二種金融商品取引業を理解するためには、第一項有価証券と第二項有価証券の理解が必須です。

<デリバティブ取引>
第二種金融商品取引業を理解するために、もう一つ、重要な要素に「デリバティブ取引」があります。金商法はデリバティブ取引の種類も、国債先物など有価証券関連デリバティブ取引と金利・為替先物取引など有価証券関連デリバティブ取引以外のデリバティブ取引の2つに分けています。

さらに、デリバティブ取引は市場デリバティブ取引と店頭デリバティブ取引の2つに分かれていますので、金商法のデリバティブ取引は4つの箱に分けられます。

4つの箱のうち、有価証券関連デリバティブ取引以外の市場デリバティブと取引だけは、第二種金融商品取引業(他はすべて第一種金融商品取引業)なのですが、この点を気にしなければならないのは、FX業者くらいですので、ここでは説明を省略します。

<二種業務の原則と例外>
以上の基礎知識を前提にお話しすると、第二種金融商品取引業とは、主として、第二項有価証券を取り扱うことができる金融商品取引業者ができる金融商品取引業を指します。

「主として」と書きましたが、第一項有価証券の取引であっても第二種金融商品取引業であるもの、第二項有価証券の取引であっても第一種金融商品取引業であるものがあります。

前者、つまり、第一項有価証券の取引であるにもかかわらず第二種金融商品取引業である取引は、「投資信託の自己募集」です。投資信託は、第一項有価証券ですから、例えば、投資信託の募集の取扱いや私募の取扱いは、第一種金融商品取引業ですが、投資信託の自己募集だけは、第二種金融商品取引業です。

後者の例は、つまり、第二項有価証券の取引なんだけれども、第一種金融商品取引業である例は、有価証券の引受けと有価証券等管理業務です。ここは難しいので、後日、お話しします。今は、「第二項有価証券(信託受益権や組合出資持分)の取引のすべてが第二種金融商品取引業であるわけではない」ということを記憶しておいてください。

<一種業務と二種業務>
ところで、証券会社は有価証券(第一項有価証券と第二項有価証券を含みます)の取引であれば何でもできそうですが、証券会社であっても、第一種金融用品取引業と第二種金融商品取引業の両方の登録を受けていなければ、第二項有価証券である信託受益権や組合出資持分の取引には参加できません。

金融商品取引業には、第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業の他に、投資助言業務と投資運用業がありますが、いずれも別々の業務なので、例えば、第一種金融商品取引業ができるからといって第二種金融商品取引業ができるわけではないし、投資運用業ができるからといって投資助言業務ができるわけではありません。

なお、投資助言業務は、一般的に「投資助言・代理業」と呼ばれますが、「代理業」は、実務ではまず出てきませんので、ここでは、「投資助言業務」と呼び、「代理業」は省略します。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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