不動産AMに対する当局検査


不動産AMに対する証券取引等監視委員会の検査が本格化する兆候が見られます。

私は、職業柄、何十社もの不動産AMの内部管理態勢の状況を見てきましたが、一社として、基本動作が完全にできている会社に出会ったことがありません。

基本動作の一つに、当局に対する「変更届出書の提出」があります。届け出対象項目は山のようにありますが、日常的に発生する届け出の数は10程度です。この10程度の届出書の提出を漏れなく行っている不動産AMを私は知りません。

当局検査は、大きく分けると「体制検査」と「取引検査」に分かれます。以前は、体制検査は金融庁が行い、取引検査は証券取引等監視委員会が行っていましたが、現在は、いずれも証券取引等監視委員会が行っているようです。

一般的に、取引件数の少ない会社や登録後6か月から1年程度の会社に対する検査は体制検査です。先に挙げた変更届出書の提出が正確にされているか、登録申請時に提出された書類通りに、業務運営や管理運営がなされているかが検査されます。

一方、取引件数の多い会社の検査は、取引検査が中心です。取引に至る経緯や取引の内容が金商法に抵触していないかどうかが検証されます。また、取引検査が行われるといっても、同時に、体制検査も行われます。

私は、不動産AMを始めとする二種業者から模擬検査を依頼されることがあります。模擬検査では、登録申請時に提出した書類をすべて拝見し、現状と一致しているかどうかを確認したり、取引実績を見て、金商法に違反している事例がないかどうかを確認したりしています。

繰り返しになりますが、パーフェクトにできている会社を今のところ私は知りません。

<不動産AMが今すべきこと>
不動産AMに対する当局検査が本格化する兆しが見える今、不動産AMが最初にすべきことは、変更届出書が金商法の規定の通りに提出されているかを確認することです。

次に、登録申請時に提出した書類、つまり、登録申請書や業務方法書や社内規則の内容と現状との間にギャップがないかどうかを検証する必要があります。

さらに、助言の件数が多いとか、運用実績が多いというように、取引件数が多い会社は、過去の取引をすべて検証しなければなりません。

この検証作業は、私の経験では、2か月程度かかります。ですから、今日から、スタートすべきです。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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