証券取引等監視委員会検査0


証券取引等監視委員会(財務局管轄の会社は財務局)の検査を受けた会社の感想は、真っ二つにわかれます。

「大変だったー!」

「何もなかった」

感想は両極端です。

両極端に分かれる理由としては次のような要因が考えられます。

<管轄による違い>
金融商品取引業者に対して検査を行う機関は、金融庁管轄の会社であれば証券取引等監視委員会、財務局の管轄であれば各財務局です。

私の経験では、「検査の厳しさ」という点において、一般的に、次の傾向が見られます。

財務局 < 証券取引等監視委員会

証券取引等監視委員会の方が厳しいということです。この差が出る最大の原因は、証券取引等監視委員会の方が検査慣れしているからです。言い換えると、金融商品取引業者の実務に詳しいということです。詳しいから、厳しく指摘することができるわけです。

では、財務局の間では厳しさに違いがあるか?

この質問に対する回答は差し控えておきます。

<取引実績>
金融商品取引法は、金融庁は、3か月以上金融商品取引業を行わなかった会社の登録を取り消すことができると定めています。現実問題としては、二種業者は、金融商品取引業が本業でない場合が多いため、登録以降、まったく取引実績がない会社が散見されます。

金融商品取引法の規定の構造上、取引(勧誘を含む)がなければ、金融商品取引業者に金融商品取引法を適用する余地がないため、「検査の厳しさ」は次のようになります。

取引実績がない会社 < 取引実績のある会社

取引実績のない会社に対する検査を私は経験上「体制検査」と呼んでいますが、当局は「特別検査」と呼びます。なお、特別検査にはまったく別の意味もありますので、体制検査は、特別検査の一種であるということになります。

<主任検査官>
私の経験では、検査の過程や検査結果は、主任検査官によってまったく違います。主任検査官が検査に厳しい人であれば厳しい検査になるし、そうでなければそうはならないということです。

ですから、当然のこととして、「検査の厳しさ」は次のようになります。

主任検査官が厳しくない < 主任検査官が厳しい

ここで「主任検査官が優しい」と書かなかったのは、一般的に、主任検査官にとって、「優しい」は褒め言葉ではないからです。

注意しなければならない点、かどうかわかりませんが、主任検査官が優しかった場合には警戒が必要なときがあります。

私は、金融庁と証券取引等監視委員会の検査を延べ11回受けていますが、優しい主任検査官にあたったときは、必ず、営業停止処分を受けたものです。

<検査対応はどうすべきか>
「検査が厳しいときもあれば、厳しくないときもあるのでは、検査対応はどうすれば良いか」という質問は、言うまでもありませんが、愚問です。

ブログで何でも繰り返している通り、即効性のある検査対策や検査対応はあり得ません。また、内部管理態勢の充実や取引の適法性は、検査があるなしにかかわらず、当然、確保されていなければなりません。

と言えば、格好は良いですが、現実問題としては、いつ検査が入っても良いように、普段から、コンプライアンス研修の実施、内部監査の実施、経営陣によるコンプライアンス態勢の構築と充実を欠かさないようしましょう。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
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