特例業務届出者


改正63条につきましては、こちらをご覧ください。


「出資」「事業」「配当」の3拍子がそろったファンドの出資金を集めることは、自己募集という金融商品取引業であり第二種金融商品取引業の登録を受けなければできません。さらに、集めた資金を運用する行為は、「自己運用業務」という別の金融商品取引業で、投資運用業の登録を受けないで行うと懲役刑の対象になります。

<投資運用業>
投資運用業の典型例は投資信託の運用ですが、投信法上の資産運用会社については説明を省略し、投信を除くファンドの自己運用業務についてみていきます。

ファンドの自己募集については、ファンドがえびの養殖をしている場合であっても、金融商品取引業であって、第二種金融商品取引業の登録が必要でした。これに対して、ファンドの自己運用業務は、投資対象が主として有価証券の売買やデリバティブ取引でない限り、金融商品取引業になりません。えびの養殖行為は、投資運用業ではありません。

主としてとは運用財産の50%超を意味するという理解が共有されていますので、運用財産の50%以下で有価証券を売買しても、金融商品取引業になりません。また、資産流動化法の特定目的会社の自己運用は、金融商品取引法の自己運用業務に含まれていませんから、特定目的会社の自己運用も金融商品取引業ではありません。というわけで、金融商品取引業になる自己運用は、投信法上の資産運用を除くと、有価証券である不動産信託受益権に投資する組合契約などに限定されることになります。

<適格機関投資家等特例業務>
次回以降、主として、第二種金融商品取引業、投資助言業務、投資運用業の登録申請の際の注意事項について書いていく予定ですが、その前に、間違いなく金融商品取引業なんだけれども、登録を受けなくても可能な金融商品取引業である「適格機関投資家等特例業務」について、簡単に触れておきます。

適格機関投資家等特例業務の届出を行った特例業務届出者は、登録を受けなくても自己募集と自己運用ができます。届け出ですから一切の審査がないところがポイントです。ですから、手続きも簡単で、「適格機関投資家等特例業務に関する届出書」をわかる範囲で記載すれば良いので、誰でも一人ですることができます。

特例業務届出者の業務の範囲は、登録を受けた場合よりも当然限定されますが、出資者が適格機関投資家か、適格機関投資家でない者で49名以下の者に出資の勧誘をすることが可能です。

多数のファンドが、この条件を満たして金融商品取引業を行っています。当局検査の対象にはなりますが、金融商品取引業に参入しようと考えているファンド運営者の方は、登録前の試運転として、まず特例業務届出者となることをお勧めします。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
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