証券取引等監視委員会検査-150604号外


私が、自分自身について自信をもって言えるのは、私は法律家ではないということです。では何かというと、私は実務家です。

確かに金商法や関連法令はできる限り、隅から隅まで目を通し、暗記していますが、暗記しているといちいち証券六法を開く必要がないから便利というだけで、暗記自体がコンプライアンスの実務に役立つことはありません。

条文の解釈もしかりです。私と初めて話をするクライアントから「弁護士に聞いてもわからなかった条文の意味が、ようやくわかりました」とよく言われます。

これは、弁護士の解釈が間違っているというのではなく、クライアントに条文を説明するときには、解釈だけにとどまらず、実務かとして、クライアントが直面しているであろう具体的な事例に、どの条文がなぜ適用されるのか、結果としてクライアントは何をしなければならないのかまで説明しないと、真の意味でクライアントのお役に立つことはできないということです。

先日、ある上場会社のビッグプロジェクトに参加させて頂いたときに、ある条文の解釈が問題になった際、「条文にはこう書いてありますが、この条文を証券取引等監視委員会は、こう解釈する傾向がありますので、こういう体制整備が必要です」と説明したことがあります。

とにかく、条文は実務に落とし込まなければ意味がありません。

「この条文を守るためには、営業部門が何をして、バックオフィスが何をして、経営者は何をして、会社全体のアクティビティを検証すべきコンプライアンス担当者は何をしなければならないのか」という個別具体的な方法論を論じなければ、金商法を活かしたことになりません。

金商業者のコンプライアンス担当者の方は、金商法を、皆さんの会社の実務に落とし込むことが一番大事な仕事だと考えます。この作業は、創造的で、何事にも熱中しやすい方なら、間違いなくはまります。私のように。

<電子募集取扱業務>
平成26年改正金商法の施行で、電子募集取扱業務に関する条文が施行されました。

電子募集取扱業務とは、文字通り、電磁的方法で、募集の取扱い又は私募の取扱いを行う行為のことです。

具体的には、例えば、自社のサイトで、太陽光ファンドの販売(勧誘)を行うことです。

電子募集取扱業務は、ネット上で決済ができる必要はありません。また、いわゆるクラウドファンディングに限りません。これらは、電子募集取扱業務の一種である「電子申込型電子募集取扱業務等」に過ぎません。

電子募集取扱業務を行う金商業者は、契約締結前交付書面の記載事項が増えたこと、サイトで勧誘を行う場合にサイトに掲載すべき事項が新たに設けられたこと、法定帳簿が新たに増えたことに留意しなければなりません。

施行されたばかりの規定違反は目立つので、証券取引等監視委員会の検査で指摘を受けやすいと考えます。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。コンプライアンス・リスク管理コンサルタントとして、上場会社、が外資系企業など多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

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JSL行政書士事務所
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