コンプライアンス担当者への警告1


今回は、コンプライアンス担当者には、少し厳しいお話をします。ただ、私が作った絵空事ではなく、私がサラリーマン時代に実際に20年以上実践してきたことをお話しますので、参考にして頂ければと思います。

「営業はアクセルを踏む、コンプライアンスはブレーキを踏む。この両輪がうまくかみ合うようにビジネスを進めることが成功する経営の鍵となる」

こういうまことしやかな言葉を聞いたことはないでしょうか。

これは、大きな間違いです。

正しくは、「営業はアクセルを踏む、コンプライアンスもアクセルを踏む、だから、コンプライアンスを重視すると、加速度的に収益が向上する」です。

何度も言いますが、私は、金融商品取引業者で20年以上もコンプライアンス部門の責任者をしていました。日常業務の中で私が目指したことは、法令違反を避けながら、如何にしてビジネスを推進するアイデアをねん出することができるかでした。

独立系法務コンサルタントとなった今でも、考えは変わっていません。私を重要なプロジェクトに参加させた企業であれば、私のアプローチは、まず、法令違反とならない方策を明らかにし、どうすれば法令違反を避けながら、ビジネスを加速度的に推進することができるかを提案することにあるということがお分かりになったと思います。

あなたがコンプライアンス担当者であれば、法令違反を避ける方策を考えることは、職務上当たり前であって、さらに、法令違反を避けながらビジネスの推進を図ることを考えなければなりません。

「営業がコンプライアンスに関心を示してくれない」というコンプライアンス担当者がいますが、関心を示してもらえないのは、営業部門、場合によっては、経営部門にメリットがあることを、コンプライアンス担当者のあなたが進言していないからです。

繰り返しますが、コンプライアンス担当者は、まず、何よりも、金商法の知識を総動員して、法令違反とならない方策をねん出しなければなりません。ねん出したうえで、次に、「だから、この戦術なら、法令違反をすることなしに、ビジネスを推進させることができる」という戦術を提案する必要があります。

戦術を提案するためには、ビジネスについて、経営者や営業部門と同等、またはそれ以上にビジネスや商品は販売方法(マーケティング)に通じていなければなりません。

「そんな万能選手はいない!」と思いますか?

コンプライアンス部門の本当のプロは、このようなアプローチができるくらいに、寝る間も惜しんで勉強することが肝要です。

万能選手である外資系投資銀行のコンプライアンス部門の給料が、多くの方には想像不可能なくらい高いのは、外資系投資銀行では、コンプライアンス担当者に、既に、このような能力が求められるからです。

コンプライアンス担当者のすべての基本は、金商法の完全な理解と、理解した金商法を実務に落とし込むことです。

落とし込みが終わったら、もう、法令違反を気にする必要はなくなったわけですから、ビジネスを加速度的に推進する方法を提案するのです。これができなければ、コンプライアンス担当者は、社内で疎んじられかねません。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。コンプライアンス・リスク管理コンサルタントとして、上場会社、が外資系企業など多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

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JSL行政書士事務所
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