社内規則見直しプロジェクト


平成27年5月29日の平成26年改正金商法の施行は、昭和23年から続いた同法(旧証取法)の「法規制中心主義」から「自主規制中心主義」への証券金融行政の大転換を意味します。

同じことが、平成10年に施行された金融システム改革法(日本版ビッグバン)において、銀行法に起きました。このとき、「社内規則」の整備が銀行法で条文をもって義務付けられたのです。

大転換を迎えた当時の銀行においては、すべての本部機能のコンプライアンス担当者が各々の担当部門の社内規則の整備を実施しました。私も、証券業務の社内規則の見直しを行いました。

今回の大改正で、金商業者各社においても、社内規則の見直しプロジェクトを立ち上げて、社内規則を見直す必要があります。

<検査における影響>
法規制中心主義から自主規制中心主義に移行したために、証券取引等監視委員会の検査においても、社内規則が今以上に重視されるようになると考えます。

具体的には、これまでの検査においては、たとえ社内規則違反があっても、法令違反でなければ問題視されることはまずありませんでしたが、これからは、社内規則違反が「不適切行為」(金商法第51条参照)として指摘の対象になるだろうということです。

ましてや、社内規則の未整備の状態は、行政処分の対象になり得ます。(金商業等府令第70条の2が根拠)

<社内規則見直しプロジェクト>
以上から、社内規則の見直しプロジェクトは、社内規則が整備されていることを確認し、不足していれば新設し、併せて、既存の社内規則違反がないかどうかを確認することが、中心になります。

社内規則見直しプロジェクトで注意しなければならない点が2つあります。

1つ目は、社内規則とは「規程」とか「規則」という類の社内ルールのみを指すのではなく、「事務マニュアル」とか「業務要領」と呼ばれる類の社内ルールも含むという点です。事務マニュアルや業務要領(呼び名は重要ではありません)も整備されていないと、社内規則の未整備ということになります。

2つ目は、社内規則は、金融商品取引法に直接関係のある社内規則のみを指すのではないということです。例えば、「取締役会規程」とか「経営会議規程」、また、「稟議規程」とか「金庫管理規程」までも、整備しなければならないということです。

以上の2つの注意点は、私が当てずっぽうに言っているのではなく、平成10年の銀行法の大改正の際に、行政当局から求められたことです。

実際、金融システム改革法の施行後、最初に受けた金融庁検査において「金庫管理規程がない」ということが、現在の検査でいう「整理票」にまで発展し、指摘事項となったことがあります。

社内規則の見直しプロジェクトは、最低でも3か月はかかると考えます。ですから、早めに手を打つことが大切です。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。コンプライアンス・リスク管理コンサルタントとして、上場会社、が外資系企業など多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

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