兼任の限界


昨日は、「かすみの会」がありました。「かすみの会」は、このブログでも何度か取り上げていますように、元々は、助言業者のコンプライアンス担当者の情報交換、意見交換会です。

昨日、気づかされたのですが、「かすみの会」も、開始から3年になるそうです。主催者は、私と、同じく金商法に強い行政書士の二人ですが、彼女が事務局を買って出てくれたおかげで、3年も続けることができました。

日系の金商業者ばかりでなく、外資系の金商業者も参加していて、新規に参加する会社が毎回増え続けているので、「かすみの会」もいつの間にか、一大勢力になってきました。

次回の「かすみの会」は、7月14日(火)です。

次回のテーマは、参加者から提案された「社内組織体制」です。

<コンプライアンス担当者の兼任>
社内組織体制とは、例えば、コンプライアンス担当者は、どこまで他の部門を「兼任」することができるか、というような、人員配置と業務の実効性の問題です。

コンプライアンス担当者について言えば、営業部門や内部監査部門との兼任は不可ですが、総務、人事、システムとの兼任は可能だと考えます。フロント部門との兼任は、当然、不可です。

問題になるのは、バックオフィス業務ですが、バックオフィス業務は、フロント部門の業務の延長にありますので、やはり、兼任不可でしょう。

<内部監査担当者の兼任>
内部監査担当者は、いかなる部門とも兼任できません。当たり前の話で、内部監査担当者が他部門と兼任してしまうと、自己監査になってしまうからです。

「内部監査担当者がコンプライアンス担当者を兼任している」という話を聞かされることがありますが、以上の理由から不可です。

「いや、内部監査担当者がコンプライアンス担当者を兼任しているから、コンプライアンス部門の内部監査は他部門が行うから、自己監査にならない」という人がいますが、これが成り立つためには、コンプライアンス部門の内部監査を行う他部門の職員は、内部監査業務に通じている場合に限られます。

「でも、登録申請の際、内部監査担当者とコンプライアンス担当者の兼任が認められた」と粘る人もいますが、認めたのは「監督部局」なので、「検査部局」が理解を示すかは別問題です。

予備知識として、監督部局と検査部局は、同じ役所にいても、原則として情報・意見交換ができません。大蔵省接待事件を受けて、このような厳格な体制が役所でとられています。

したがって、監督部局がOKしたことが、検査部局で否定されることは、日常茶飯事です。

監督部局が認めたから、という言い訳は、検査部局には通じないということです。

<代表取締役の兼任>
代表取締役は、営業部門を除き、原則として他部門と兼任することはできません。代表取締役は、究極のところ、営業部門だからです。

営業部門なので、コンプライアンス担当者を兼任することはできません。仮に、代表取締役が営業部門とは一線を画していても、コンプライアンス担当者は兼任できません。コンプライアンス担当者は、代表取締役を監視する役割を担うからです。

代表取締役は、内部監査部門との兼任もできません。自己監査になってしまうからです。

代表取締役が内部監査部門を兼任するとして、登録を受けることができた会社が複数社ありますが、結局、検査で解体を命じられています。検査部局は、登録審査を行う監督部局の判断に左右されない事例の一つです。

ちなみに、代表取締役が「非常勤」である事例を見ることがありますが、これは不可です。「いや、登録申請の際、監督部局に認められている」という言い訳が検査では通用しないということは、何度も繰り返している通りです。

「検査部局は、監督部局の判断に左右されない」という事実に注意してください。

最悪なのは、だからと言っても、本当は許されない兼任をしていても、検査の際に「けん引していません」とウソをつくことです。検査官に対するウソは、検査忌避(検査妨害)であり、一発で、業務停止です。検査忌避は、最悪、検査忌避をした本人が、懲役刑ですから、細心の注意が必要です。


次回7月14日(火)の「かすみの会」に参加ご希望の方は、“yoshinori_kawasaki@nifty.com”まで、ご連絡ください。メールには、会社名、役職名、氏名を明記の上、会社のメールアドレスを使用して申し込んでください。

勉強会は18:00から開始します。参加費は無料です。勉強会の後、自由参加(事前申し込みが必要です)の懇親会があります。懇親会は実費(5000円程度)を負担して頂きます。

併せて、新規に「ニュースレター会員」の申込みも受付けます。ニュースレター会員の申込みを受け付けるのは今回が初めてです。

会員には、私が任意に取り上げたトピックについて、考え方や解説を付けて、不定期にメールをお送りします。20年以上この業界に携わってきた私の経験を会員と共有し、金商業者の経営の健全な発展に寄与することを目的としていますので、購読は無料です。一種、二種、助言、運用すべての業態が対象です。正確に数えたことはありませんが、既に約60社にお送りしています。

申し込まれる方は、“yoshinori_kawasaki@nifty.com”まで、ご連絡ください。メールには、会社名、役職名、氏名を明記の上、会社のメールアドレスを使用して申し込んでください。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
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