内部監査部門


既に何度かお話していますが、内部監査部門の独立性が厳しく求められる傾向にあります。

クライアントの話を元にすると、もともと、内部監査の独立性については、検査部局である証券取引等監視委員会(財務局管轄なら財務局)が厳しく、例えば、代表取締役が内部監査部長を兼任していると、分けるようにと指摘していましたが、最近は、監督部局である金融庁(財務局管轄なら財務局)が、内部監査部門の独立性を厳しく求めているようです。

<内部監査の独立性>
内部監査部門が他の部門を兼任してしまうと、他の部門の監査は「自己監査」になってしまうので、他の部門を兼任できるわけがないのですが、なぜか、監督部局は、例えば、内部監査部門とコンプライアンス部門の兼任を認めることがありました。

監査部局のこのような判断を、私は一貫して「あり得ない」とこのブログで指摘してきましたが、ここにきて、監査部局も検査部局同様に、内部監査部門の他部門との兼任を認めない方向に舵を切ったようです。

<内部監査の内部性>
「内部監査」は、外国から輸入された制度で、英語で“Internal Audit”と言います。“Audit”は「監査」という意味で、“Internal”は「社内」の意味です。

「内部」とは、「外部」の対義語になっていて、公認会計士による監査のような社外の監査を外部監査と呼び、社内の監査を内部監査と呼んで区別しています。

だから、(こういう金商業者は存在しないと思いますが)内部監査を外部の公認会計士や弁護士に委託することは、言葉の定義上できません。

「でも、人がいない」という場合、仮に、公認会計士や弁護士に内部監査の実施をさせるのであれば、公認会計士や弁護士を「内部」(役職員)に組み込む他ありません。

内部と外部になぜこれほどまでこだわるのかというと、金商業者の「自浄作用」を判断するためです。

法令等違反があったとき、内部で発見されたのなら自浄作用が働いている金商業者と判断できますが、外部から発見されたのなら自浄作用が機能していない金商業者と判断されます。

自浄作用が機能していない組織体制は、登録拒否要件に該当する可能性があるため、自浄作用が機能しているかどうかは、登録を維持できるかどうかの境界線になるわけです。

実際、法令等違反が外部から発見されると大変です。法令等違反が外部から発見されたために、監督部局から報告徴取命令が出て、検査より厳しい調査が実施された金商業者を私は見てきました。

金商業者にとって、「自浄作用」が機能しているかどうかは、きわめて大きな課題です。だから、法令等違反を発見する立場である内部監査部門は「内部」である必要があるのです。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

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JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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