メッセージを発信する


もともとこのブログの中心テーマは「開示規制」「行為規制」「不公正取引規制」だったのですが(今でも変わっていません)、最近、コンプライアンス担当者向けのメッセージをできるだけ多く発信するようにしています。

コンプライアンス担当者が証券取引等監視委員会の検査で、一番、追い詰められる存在になりがちなので、自己防衛策を提供するとともに、コンプライアンス部門の会社における地位の向上を目指しています。

だから、メッセージを出し続けているわけですが、コンプライアンス担当者にも、ぜひ、コンプライアンスに関するメッセージを社内で発信し続けることをお勧めします。

<メッセージを送る>
私の周囲のコンプライアンス担当者は、みなさん、コンプライアンスに対してとても真剣です。

「やりたくないけど、金融庁がやれというからやっている」なんて考えの人は、少なくても、私の周りにはいません。

コンプライアンス担当者であるみなさんがコンプライアンスに対して真剣であるなら、思いを内に秘めずに、社内にメッセージを送り続けることが大切です。役職員全員がコンプライアンスを自らの課題に位置付けるまで、メッセージを送り続けるのです。

私自身、コンプライアンスを20年以上担当してきたので言えることですが、メッセージを送り続ければ、よほどひねくれた役職員でない限り、いつか、必ず、振り向いてくれます。この「いつか」も、早ければ3か月以内に効果が現れます。

こうして、社内のコンプライアンス意識を一層高めるとともに、社内のコンプライアンス部門の地位も向上させることができます。

<メッセージの5つのルール>
メッセージは次のことを守らないといけません。

1 事実と考えを分けて書く(「検査は怖い」というメッセージは、典型的なダメな例)

2 受け売りをそのまま発信するのではなく、自分で調べて、自分の言葉で発信する(「他社はみんなこうしている」ではなく「当社はこうあるべきと考える」とする)

3 継続する(経験則では、毎週月曜日にメッセージを送り続けることが効果的)

4 熱くならない(周りが冷めます)

5 わかりやすい言葉で発信する(条文を引くのは効果的ですが、条文を丸写しすると逆効果)

「毎週月曜日なんて、ネタが続かない」と思うのは、誤解です。やってみればわかりますが、ネタはいくらでもあります。実際、私は、このブログを12年以上書き続けています。

<まず隗より始めよ>
ネタ切れにならない方法の一つは、金商法の条文の順番通りに、メッセージを書いていくことです。

すると、最初は、「目的規定」になりますが、目的規定は哲学的なので後回しにして、まず、「定義」から始めるのがお勧めです。

「第一項有価証券」から始めても良いし、二種業者であれば「第二項有価証券」から始めることもできます。

(売出しは、一種業者以外まず関係がないので飛ばして)「募集」「私募」「発行者」「引受け」と続けます。

もっと、手っ取り早く役職員の興味を引くのであれば、まず、金商法第3章(行為規制)から始める方法があります。

第3章についてメッセージを出すときは、「具体性」が重要です。「当社は、こうしなければならない」ではなく、「営業部門はこうして、業務部門(バックオフィス部門)はこうして、コンプライアンス部門はこうして、経営者がこうすると、法令違反が起きません」というように、会社の実情に合わせて具体的に書くと、役職員は自分のことと捉えることができるので、理解されやすいです。

いきなりメッセージを出すのは恥ずかしいとか、ドン引きされるとか、社内からクレームが来るとか、不安がある人もいるかもしれませんが、(たまにそういうことはあるものの)ほとんど杞憂ですので、とにかく始めることをお勧めします。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
http://office-jsl.com/

<お問い合わせ>
お問い合わせは、お問い合わせフォームで受け付けます。

<主な業務>
主な業務は、主な業務をご覧ください。

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