登録申請手続き(2)


金融商品取引業者として登録を受ける際も、受けた後も、人的構成、つまり、組織のあり方は、最大の問題になります。不動産信託受益権にかかわるビジネスのために金融商品取引業者として登録を受ける・受けた会社は、特に、組織のあり方に対する監督当局、検査当局の目が厳しいです。不動産信託受益権にかかわるビジネスに対して当局が注視する理由は、取引価額が大きいため、投資家に与えるインパクトが大きいことが理由の一つです。

<人的構成の審査基準>
不動産信託受益権等売買等業務を行う場合には、宅建業の専門知識と経験がある人が、次の部門に配置されていることが必要です。
1. 不動産信託受益権等売買等業務の統括部門
2. 内部監査部門
3. コンプライアンス部門

不動産信託受益権等売買等業務とは、以前にも話しましたが、不動産信託受益権の売買業務や不動産信託受益権に投資するファンドの運営業務などを指します。そこを統括する部門というのは、要するに営業部門です。

不動産信託受益権は、既に関連業者の方はご存知の通り、金融商品取引法の改正に伴い、宅建業法でも規定されています。ですから、宅建業の知識や経験がある人が必要なのは、当然のことです。

宅建主任者であれば、宅建業の知識や経験があることを証明することが簡単です。なければ、①試験が簡単なのでちょっと我慢して勉強してとるか、②すぐに金融商品取引業者の登録が必要なら、宅建業の知識と経験があることを証明するための履歴書を準備するかのいずれかの方法で、宅建業の知識と経験を証明することが必要です。

<余談:宅建業法の改正>
宅建業法35条3項の不動産信託受益権の売主となる場合の売主の意味と、宅建業法50条の2の4の不動産信託受益権の売主となる場合の売主の意味は違うのですが、少なくても金融商品取引法の施行当時、私は宅建業者の方向けのセミナーの講師をしたときには、違いを理解していた方は一人もいませんでしたので、念のため、ここで違いの説明をしておきます。

結論から言ってしまうと、決定的な違いは、宅建業法35条3項の売主は、金融商品取引業者として登録が必要がない宅建業者のこと、宅建業法50条の2の4の売主は、金融商品取引業者でなければならない宅建業者であることです。

ここからは、金融商品取引法の理解が必要ですが、前者の場合、宅建業者自身が所有する不動産を信託して信託受益権の売主となる場合であるのに対して、後者の場合は、他人が不動産を信託した信託受益権の売主となる場合のことを指しています。

宅建業者自身が所有する不動産を信託して信託受益権の売主となる場合、宅建業者の行為は、不動産信託受益権の自己募集になります。一方、他人の不動産信託受益権の売主となる場合、宅建業者の行為は、不動産信託受益権の売付けです。このブログで何度か説明しましたが、不動産信託受益権の自己募集は金融商品取引業ではありません。ですから、金融商品取引業者の登録を受けていない宅建業者でも問題なくできます。一方、不動産信託受益権の売付けは金融商品取引業です。ですから、第二種金融商品取引業の登録を受けた宅建業者でないと取扱いができないわけです。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
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