二種業協会


私が顧問を引き受けている金商業者のうち、二種登録をしているクライアントが、全社、二種業協会に加入することになりました。これで、未加入を理由に業務改善命令や登録取消し処分を受ける(根拠は金商法第52条)ことがなくなりました。

私は、金商業者の日々のコンプライアンスに関する問題に関する相談や解決策の提案、広告資料の審査、新商品・新ビジネスのコンプライアンス・チェック、複雑で多岐にわたる各種届出書の提出に対するリマインダー、商品審査委員会など委員会の委員就任、報告徴求に対する回答案の提供、証券取引等監視委員会の検査の際の相談に応じる業務など多岐にわたるサービスを提供する顧問契約を多くの金商業者(一種、二種、助言、運用)と締結し、コンプライアンス業務の外部委託を引き受けています。

これだけ多岐にわたるコンプライアンスの問題解決に尽力する「顧問」という名乗る以上、まるでクライアントのコンプライアンス部門のように(外部委託先として)、私はクライアントのコンプライアンスに対する責任を負うので、クライアントがクライアントの顧客や金融行政当局からクレームや処分を受けることがないように、モニタリングをしていますが、二種業協会に未加入の二種業者の顧問は、責任を全うできないため、未加入二種業者だけは顧問契約をお断りしています。

<未加入は業務停止命令か登録取消し>
金商法第29条の4第1項第4号ニより、二種業協会に加入しない二種登録の申請は、登録拒否事由にあたるため、受け付けられません。

さらに、既存の二種業者については、金商法第52条第1項第1号より、二種業協会に加入していない二種業者に対して、金融庁は業務停止命令か登録取消し処分をすることができます。

<例外規定は使用困難>
「法律上」は、確かに、未加入二種業者であっても、社内規則と社内規則を遵守するための体制を整備していれば、業務改善命令や登録取消し処分を免れることができることになっていますが、これは、あくまで条文にそう書いてあるだけで、実際には免れることは極めて困難です。

複数のクライアントから、金商業者に対する金融行政当局、特に、証券取引等監視委員会の「実態」や「実務」を知らず、法律を読むことしかしていない弁護士が、二種業協会に加入しなくても大丈夫と言っていると聞きましたが、大丈夫じゃありません。ちなみに、弁護士からそう聞いたというクライアントも、全社、弁護士の話を無視して、二種業協会に加入しています。

なぜ、極めて困難なのか。

以下に理由の一部を書きます。

1 二種業協会が二種業協会の定める規則を新設したり、改正したりしたときには、社内規則も追加・改正が必要となるにもかかわらず、二種業協会から新設・改正の連絡がこないため、ウォッチするほかないところ、二種業者のコンプライアンス担当者は一人であることも珍しくなく、現実問題として、ウォッチすることはできないこと。

2 二種業協会の定める内部管理統括責任者は、年1回、二種業協会が指定する研修に出席する義務があるが、二種業協会に加入していない以上、出席ができないこと。

3 二種業協会が行う内部管理統括責任者研修の講師は、現在のところ、弁護士であるから、「準じる研修」を実施することが、一見、できそうに見えるが、証券会社が所属する日証協が主催する(一種業者の)内部管理統括責任者研修の講師は、金融庁や証券取引等監視委員会の職員であるため、二種業協会が主催する研修も、いずれ講師が金融行政当局の職員となることが予想されるため、こうなってしまうと、「準じする研修」を社内で実施することができないこと。

未加入二種業者も、薄々、感じていると思いますが、金融庁はともかく、証券取引等監視委員会は、二種業協会に加入しない二種業者に対する検査で、「準じた対応をしていない」と指摘する準備を整えていることが予想されます。

私が話をした証券取引等監視委員会(霞が関)の幹部が私に「二種業者は潰しても潰しても雨後の筍のように生えてくるんだよ」と語っていたところから、証券取引等監視委員会の考えが透けて見えます。

<二種業協会に対する注文>
確かに、二種業協会の加入の意味があるのか、二種業協会は何をしてくれるのか見えず、高い入会金と年会費を考えると、二種業務が全体の業務の数%(会社によってはゼロ%)しか占めていないのに、参加したくないと考えるのは当然であり、私も二種業協会の加入義務を金商法に定めことには反発している側ですが、法定されてしまった以上、避けて通れません。

「二種業協会の対応は不親切」と複数のクライアントが言っていますが、二種業協会は、法定されことを良いことに、「あぐらをかく」ことは許されず、人数を少ないことを理由に二種業者に対する対応を疎かにしてはならず、また、日証協と同じように、社内研修の実施を希望する二種業者には職員を派遣して無料で研修の講師を引き受けるなどのサービスの充実を、即刻、開始するべきです。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
http://office-jsl.com/

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