明るいニュース


コンプライアンス担当者にとっては、(もしかすると)明るいニュースです。

米国の話ですが、今、「就職するなら、コンプライアンス部門!」という記事がありました。

銀行のコンプライアンス部門に就職するのが、以下の理由で良いそうです。

1 失業の心配がない

2 報酬が高い

個人的な意見としては、日本もそうあるべきというか、そうなると考えます。

<失業の心配がない>
米国の事情があるのですが、日本と違い、米国では法令違反が見つかると、業務停止や許認可剥奪でなく、企業に罰金など金銭の支払いが命じられます。しかも、多額です。

このため、コンプライアンス部門は、米国企業にとって、企業の損益に直結する部門です。だから、企業はコンプライアンス部門を充実させなければならない宿命を負っていて、だから、コンプライアンス経験者は「売り手市場」で、失業の心配がないわけです。

日本の金商業者の場合、法令違反が発見されると業務停止命令や登録取消し処分になるわけですが、命令・処分の内容は、法令違反が発生した理由とともに、公開されますから、レピュテーションリスクが顕在化し、ひいては、顧客離れ、売上のダウンにつながるのですから、本来、金商業者の経営者にとって、コンプライアンス部門の充実は不可避の経営課題であり、日本においても、コンプライアンス担当者の失業の心配はないはずです。

もっとも、「業務停止命令や登録取消しは他人事」で、自社とは無関係と経営者が高をくくっていたら、話は別です。

経営者がこのような考えのときには、「業務停止命令を受けた会社も、他人事と思っていたはず」であることを経営者に知って頂く必要があります。

<報酬が高い>
米国においては、コンプライアンス担当者(責任者)は、企業の法令違反が見つかると、全責任をとらされるおそれがありますから、この意味でリスクが高く、リスクに見合った報酬が与えられます。私の知る限り、日本円にして5000万円の年俸はざらです。

私は、金商業者のコンプライアンス部門に20年以上いて、証券取引等監視委員会の検査を11回受けているので知っていますが、日本の金商業者においても、証券取引等監視委員会の検査で法令違反が見つかると、最初に処分の対象になるのは、コンプライアンス担当者です。経営者は、二番目です。

コンプライアンス担当者が法令違反をすることは考えにくいので、法令違反をするのは、コンプライアンス担当者にとっては、他人である役職員です。他人の法令違反の責任を金商業者のコンプライアンス担当者はとらされるのですから、米国と事情はさほど変わりません。したがって、コンプライアンス担当者の報酬は高くあるべきです。

もっとも、経営者が「仮に、法令違反が見つかったら、自分が責任をとればいいんだろ」と、ある意味立派な経営者だったら、コンプライアンス担当者のリスクが高いことに気づかないため、話は別です。

経営者がこのような考えのときには、「誰が処分を受けるのかを決めるのは、会社ではなく当局である」という事実を経営者に知って頂く必要があります。

以上みてきたように、金商業者の経営者が正しい認識であれば、コンプライアンス担当者は、日本においても米国と同じ処遇を受けるようになります。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

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JSL行政書士事務所代表
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