検査忌避


昨日、特例業務届出者に対する証券取引等監視委員会(関東財務局)の検査結果が公表されました。

特例業務届出者に対する検査事例ですが、金商業者にも通じるものです。

指摘事項は「検査忌避」で、具体的には次の通りです。

<検査忌避>
1 同社代表者が不在だったため、検査官が電話で検査である旨を伝えたところ、代表者は都合がつかないこと検査官に伝えた。

2 検査官が、代表者に代わる社員の検査立会いを提案したところ、代表者が「立会人となる社員の名を把握していない」「本件検査に対する対応を顧問弁護士に任せた」といって、検査を拒否した。

3 当社顧問弁護士(と称する者)も、検査官に対し、「翌日になれば検査に応じる」などとし同社から退去するように求めた。

4 財務局が検査に応じることができない理由や立会人となることが可能な役職員の氏名等を報告するようにとの報告徴取命令(報告徴求)を発出したが回答がなかった。

1から、当該検査は、予告のない抜き打ちだったと考えられます。

2につきましては、検査の内容の第三者に対する開示は認められていないところ、顧問弁護士も、通常、第三者であるため開示すること自体が問題です。ただ、この点は、最近の検査で、私が顧問をしている複数のクライアントの検査において、顧問契約を締結している行政書士(私)は第三者ではないとして、開示が認められています。

3のように、検査の延期を求めることはできません。

4は報告徴取命令に関することですが、報告徴取命令違反は、公表さているように、1年以下の懲役刑等刑事罰の対象です。

<受忍義務>
金商業者においては、証券取引等監視委員会(財務局管轄の場合は財務局)の検査の「受忍義務」があります。

他の検査事例で、決算時期で多忙だったので延期を依頼して3か月の業務停止処分になった事例(他の法令違反もあった)や立入り拒否をして登録取消しになった事例(他の法令違反もあった)があります。

私が現役のコンプライアンス担当者のときに受けた検査では、営業部長が検査期間中に風邪を引いて一日休んだことで検査忌避を疑われた事例(最終的に指摘にならなかった)がありますので、検査官の指示通りに検査を受けることは、非常に重要です。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

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JSL行政書士事務所代表
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