すぐにやるべき検査対応


私の予想が外れ(7月には検査がないという予想)、証券取引等監視委員会(財務局管轄の場合は財務局)の検査が続いています。

証券取引等監視委員会の検査があっても警戒する必要はありませんが、検査が入る前に、金商業者のコンプライアンス担当者は、最低限、次のことは確認しておく必要があります。

<検査忌避の役職員への周知>
どんなに立派なコンプライアンス体制ができていても、検査において、検査忌避をしたらお仕舞いです。

検査忌避の典型は、検査官をオフィスに入室させないことですが、他にも、主任検査官の承諾を得ずに、書類を破棄する、メールを削除する、検査の情報を第三者に開示するといった行為も、検査忌避(検査妨害)です。

本当にあった話として、社長が主任検査官に恫喝したという事例を知っていますが、当然、検査忌避になり、3か月の業務停止になりました。(他にも法令違反があった事例)

笑いごとのようですが、社長を始め、忙しい人からすると、確かに、検査は邪魔に感じることがあり、イライラして、恫喝とまではいかなくても、声を荒げることがあり得ます。

もちろん、声を荒げることも検査忌避なので、コンプライアンス担当者は、特に、短気な社長に対し、大人しく検査を受けるように普段から指導しておくことが(真面目な話)大切です。

<社内規則の遵守状況の検証>
私が、クライアントから内部管理態勢の検証を依頼されると、必ず、客観的な目で、社内規則が遵守されているかどうかを確認します。

社内規則をすべて頭に入れて、徹底的に遵守状況を検証するのです。

二種業協会に加入していない二種業者のみがわかる話題になってしまいますが、6月19日付の報告徴取命令(報告徴求)においても、似たようなことが求められています。

社内規則の遵守状況の検証は、外部の専門家(と言ってもなかなかいませんが)に依頼して、「客観的な目」で見て実施してもらうのが良いです。

内部監査部が監査をしても、大手証券会社のように、完全に組織から独立した存在の内部監査部が実施するなら別ですが、さもなければ、評価が甘くなってしまいますから、外部委託する方法が良い、というか、これ以外に方法はないです。

私も、現役のコンプライアンス部長だった頃、内部管理態勢の検証を外部委託して、検証の中で、社内規則の遵守状況の確認も委託しました。

実際、知り合いの多くの二種業者や運用業者が社内規則の遵守状況の検証を外部委託しています。

毎年外部委託する必要はなく、私の感覚では、3年に1回の頻度でも問題ありません。(もちろん、外部委託をしていない年は、内部監査部が実施するのが前提)

話はそれますが、二種業協会に加入している二種業者なら、社内規則の遵守状況の確認作業が不要かというと、そういうことはあり得ず、どんな業態・状況であっても、社内規則の遵守体制の検証は必要です。

<経緯書記載事項の実施>
金商業者の中には、当局に提出する届出書の提出が遅れて「遅延理由書」を提出したり、問題が発生して「経緯書」を提出したりしたことがある方もいます。

遅延理由書に「再発防止策」を書くことがありますが(私がクライアントのために起案するときは必ず再発防止策を書いています)、再発防止策として記載した事項がホントに実施されているかどうかをあらためて確認することは重要です。

前任者が(勝手に)再発防止策を書いていて、実際には、実施されていなかったということは、あり得る話です。

過去に当局に提出した遅延理由書や経緯書の内容は、必ず、検証しておくべきです。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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