登録申請手続き(3)


証券取引等監視委員会が公表している「金融商品取引業者等検査マニュアル」に明記されていますように、金融商品取引業者等のすべての業務は、コンプライアンスの上に成り立つことが前提になっています。ですから、何をおいても、コンプライアンスを最優先させなければ、登録取消しなどの行政処分を免れることはできません。

<内部監査部門の審査基準>
不動産信託受益権等売買等業務を行う場合には、内部監査部門にも宅建業の専門知識と経験がある人が配置されていることが必要です。

内部監査は、会計監査とは違います。別の言い方をすると、税理士や公認会計士など会計監査の専門家をおくという意味ではありません。内部監査とは、事務リスク、法令違反リスク、システムリスクなど、会社に存在するリスクが顕在化しないための仕組みがあって、きちんと機能しているかどうかを監査する部門です。

内部監査部門に宅建業の知識と経験が必要な理由は、宅建業の知識や経験がないと宅建業のどこにリスクが存在しているかを把握することができないからです。問題は、内部監査部門は、宅建業に詳しいばかりでなく、内部監査の手法にも通じていなければならないという点です。

登録ができたとしても、内部監査部門の職員が内部監査を適切に実行していなければ、当局検査の際に業務改善命令の対象になったり、虚偽の内容を登録申請したとして、登録の取消し処分となったりする場合も考えられます。

<コンプライアンス部門の審査基準>
不動産信託受益権等売買等業務を行う場合には、コンプライアンス部門にも宅建業の専門知識と経験のある人を配置しなければなりません。ここは、宅建業法などの宅建業に関連する法令の知識が必要であるという意味に解釈すべきでしょう。宅建取引主任者試験に合格していれば、一通りの知識はあると認められます。

ただ、ここでも内部監査と同様の問題があり、宅建主任者が必ずしもコンプライアンスの専門家であるわけではありません。特に、金融商品取引業のコンプライアンス部門なのですから、宅建業の知識ばかりでなく、金融商品取引法の知識や金融商品取引業者のコンプライアンス経験も必須です。

登録は、コンプライアンスセミナーの受講証を持っていけば、できてしまうかもしれませんが、登録後にコンプライアンス部門の職員がコンプライアンス部門としての職責を果たすことができなければ、当局検査においてコンプライアンス体制の不備の指摘を受け、行政処分の対象になることもあり得ます。

コンプライアンス部門の仕事の一つは、金商業等府令によると「法令等を遵守させるための指導に関する業務」とあります。指導には、営業部門における日常業務の一挙手一投足の指導、教育の場としての研修の提供、法令違反を未然防止するための社内規則の作成や管理などが含まれます。

そんなことできるか!と思われる方もいるかもしれませんが、登録後の検査では、本当にここまでしていることが要求されます。これでも足りないくらいです。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
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